エンジニアが保守運用を学ぶメリット
エンジニアにとって保守運用は、技術的なスキルやキャリアの成長にとって欠かせないものです。
保守運用はシステムやアプリケーションの健全性を維持し、顧客やユーザに信頼性の高いサービスを提供する重要なプロセスです。
本記事では、エンジニアが保守運用を学ぶことのメリットに焦点を当て、その重要性やキャリアに与える影響について探ります。
1. システムエンジニアの保守業務とは
システムエンジニアの保守業務では、突発的におこる仕事への対応が求められています。
その仕事内容は主に、急に発生したトラブルへの対応やトラブル元の修正・改善を行うことなどです。
具体的には、バグの修正を行ったり、システムのアップグレードを行ったりします。
運用担当が監視して発見したエラーやバグを、保守担当で直していきます。
2. システムエンジニアで運用保守の仕事をするメリット
システムエンジニアの仕事の中でも、開発過程の仕事とは大きく異なります。
・解決スキルの向上
・スキルアップがしやすい
・システムの全体が見える
・高度な専門知識が不要
・コミュニケーション能力が上がる
・安定している
2-1. 解決スキルの向上
保守運用を経験することで、エンジニアのシステムの問題解決スキルがあがります。
障害が発生した際、素早く正確な対応が可能になり、問題に対する効果的な対処ができるようになります。
保守運用の経験により、深い洞察力や分析力を養うことができ、技術的な課題解決能力に自信を持つことができます。
2-2. スキルアップしやすい
運用保守を経験することで、スキルアップがしやすくなると考えられます。
なぜ、スキルアップしやすいかというと、幅広い知識が必要とされることや、短い期間で問題解決を求められることが多いからです。
以下のことを知っていると強いと思います。
・ハードウェア
・OS
・サーバー
・ネットワーク
・システム
最初から全て知っている人は少ないので、業務を通じて力がついていきます。
2-3. システムの全体が見える
システム全体が見えるのも、保守運用の仕事のメリットです。
保守運用は、トラブルやその原因を発見するために、システムの一部分だけでなく、利用者側からシステム内部からなど、広範囲で監視する必要があるからです。
システム全体を見渡して、異常がないかを確認するのが仕事です。
システムがどのように動くかが見られる貴重な体験です。
2-4. 高度な専門知識が不要
運用保守の仕事では、必ずしも専門性の高い知識が必要というわけではありません。
なぜなら、ITにそこまで詳しくない社員やユーザへの対応を求められる仕事でもあるからです。
・導入した製品の電源が付かない
・Wi-Fiにうまくつながらない
・システムの使い方をもう一度詳しく教えてほしい
などがあります。
未経験でも始めやすいのが、保守運用の仕事といえるでしょう。
2-5. コミュニケーション能力が上がる
エンジニアとして、保守運用の仕事に携わると、コミュニケーション能力が上がります。
なぜかというと、運用保守の業務では、直接システムに手を加えるだけでなく、困っている人がシステムの間に入って、問題を解決するのが仕事だからです。
ときには自分だけでは解決できない問題もあるでしょう。
そんなときは、焦っている使用者をなだめたり、安心させたりするのも仕事のうちです。
コミュニケーション能力が自然と上がっていくのが、保守運用の仕事といえます。
2-6. 安定している
保守運用の仕事は安定しているのがメリットです。
保守運用は、大きなトラブルがない限りは、パターン化されたルーティン業務が多いからです。
システムを開発したら、必ず運用や保守の担当は必要になります。
自分の専門性に自信がない方は、安定した運用保守の業務で、少しずつ知識を身に付けていくのが良いといえます。
3. 運用保守担当のエンジニアにおすすめの資格4選
1.応用情報技術者試験
応用情報技術者試験とは、ITの活用に必要な応用的知識を確認する国家資格のひとつです。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、12ある試験の中で、最大4レベルあるうちのレベル3に位置付けられています。
応用情報技術者試験を学習すれば、運用保守に必要な基本的な知識が身につくとされています。
2.ITサービスマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験は、IPAが運営する試験の中で、最高レベル4の難易度が設定されているもののひとつです。
特に、企業内での役割が運用や管理、保守に携わる人に向けた資格のため、運用・保守担当のエンジニアは目指した方がいいです。
難易度の高い試験ではありますが、学習することで、保守運用に必要な知識が身につきます。
3.マイクロソフト認定資格プログラム
マイクロソフト認定資格プログラムとは、Windowsなどを手がけるマイクロソフト社が運営している、マイクロソフト製品の知識を認定する試験となります。
なぜ、この資格が保守運用担当に必要かというと、Windowsやマイクロソフト製品を導入している企業が多いからです。
特にマイクロソフト社の製品を扱っている企業の保守運用としては、学ぶべきことが多い試験といえます。
4.CCNA
CCND(Cisco Certoified Network Associste)とは、アメリカ通信機器メーカーシスコが認定している、ネットワークの基本的な知識が問われる試験です。
保守運用の仕事では、システムだけでなく、ネットワークに関するトラブル対応も求められるため、未経験者におすすめの試験といえます。
CCNAを獲得することで、保守運用の担当はもちろん、ネットワークエンジニアの道も開かれるかもしれません。
4. 運用保守担当のキャリアパス
1.開発系の職種へ(ゼネラリストタイプ)
運用保守のみにとどまらず、開発業務も行うエンジニアもいます。
運用保守は比較的初心者エンジニアに多く任される仕事です。
このため、最初は保守運用から入って、実務経験を積むとともに、テストや設計、構築をしていくようになり、業務の幅が広がっていくようにスキルアップしていくことは、一般的なキャリアモデルといえます。
2.運用保守エンジニアのトッププレイヤーへ(スペシャリストタイプ)
運用保守エンジニアのプレイヤー力を上げて、スキルアップしていく方法もあります。
運用と保守ができれば一人前のエンジニアですが、設計やテストなども運用保守の業務に付随してくるため、スキルを身に付けておくとよいでしょう。
また、トッププレイヤーとしての道を極めていく人の中には、フリーランスエンジニアになる人もいます。
ひとりである程度のシステムの保守運用をこなせれば、独立も視野に入れることができるでしょう。
3.運用保守エンジニアのリーダー層へ(マネジメントタイプ)
運用保守の道を極めていくなかで、リーダーやマネジメント層へキャリアアップしていく道もあります。
運用保守の仕事は、システムやアプリケーションの規模にもよりますが、チームで行うことが多いため、そこを統括する存在は必要不可欠です。
5. まとめ
エンジニアが保守運用を経験することは、技術の進化とサービスの持続可能において不可欠です。
技術的な問題解決スキルの向上、スキルアップがしやすい、システム全体をみることができる、高度な専門知識が不要、コミュニケーション能力が上がる、安定しているなど、多くのメリットがあります。
エンジニアは新しい技術だけでなく、保守運用においても積極的にスキルを向上させ、総合的なエンジニアとしての力を発揮していくことが重要だと考えます。