セキュリティエンジニアの将来性と市場の需要 | 3つのキャリアパスを解説
セキュリティエンジニアの需要
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と共に、日本でもセキュリティエンジニアの需要は増大しています。
しかし、テクノロジーが進化する一方で、サイバー攻撃や情報漏洩といったセキュリティ上の脅威も増加しています。
その結果、企業や組織は機密情報や個人情報などの情報資産を守るため、また重大なセキュリティ事故を防ぐため、早急なセキュリティ対策を迫られており、それに伴いセキュリティエンジニアの需要は高まっています。
セキュリティエンジニアは、企業の情報資産を保護するために必要不可欠な役割であり、システムの脆弱性を見つけ出し、セキュリティ対策を設計・実装・監視することで、情報漏洩やサイバー攻撃から企業を守ります。
また、万が一のセキュリティ事故が発生した場合には、その影響を最小限に抑える対策を講じることも重要な役目です。
セキュリティ対策は、ビジネス継続やブランドイメージの保護、法規制の遵守などに直結しており、セキュリティエンジニアは全ての企業において必須の人材となっています。
1. セキュリティエンジニアの将来性
ガートナージャパンが予測した2023年の日本のIT市場規模は約28兆5,000億円とされており、また、IDCジャパンはセキュリティエンジニアの市場規模は9,000億円近くにのぼると予測してます。
これらの数字から見ても、企業が自社の情報資産を守るため、セキュリティエンジニアの能力を重要視していることが分かります。
また、企業や社会がデジタル化を進める中で、セキュリティは経営戦略の一部となっており、セキュリティエンジニアは単なる技術者だけでなく、経営戦略の一部も担う存在です。
そうした背景から、セキュリティエンジニアは、企業のビジネスと密接に関係しており、スペシャリストから情報システム責任者(CIO)まで、さまざまなキャリアパスが望めるため、その将来性は非常に高いと言えます。
2. セキュリティエンジニアのキャリアパス
セキュリティエンジニアのキャリアパスは、システムエンジニアとしてキャリアを積み、徐々にセキュリティに関連する仕事に携わる機会が増え、最終的には企業全体の情報セキュリティを担う立場になることが一般的です。
ここでは代表的な「セキュリティアナリスト」、「セキュリティコンサルタント」、「セキュリティアーキテクト」の3つのセキュリティエンジニアのキャリアパスについて解説します。
2-1. セキュリティアナリストの役割とキャリア
セキュリティアナリストは、その名の通り組織の情報セキュリティ環境を分析し、その安全性を保つセキュリティのスペシャリストの役割を担っています。
具体的には、システムの脆弱性評価、セキュリティリスクの評価、侵害対策の立案、およびシステムの監視などが主な業務です。
サイバー攻撃から組織を守る上でセキュリティアナリストの活躍は欠かせません。
セキュリティアナリストの魅力は、組織の情報セキュリティを守る重要な役割を担うことで、直接組織の成長に寄与するという点です。
セキュリティアナリストになるためには、専門的なセキュリティに必要な知識はもちろん、最新のセキュリティ脅威を分析し、それによるリスクを評価する能力が求められます。
そして、システムの脆弱性を特定し、それがどのような影響を与えうるかを理解することで、その企業に適したセキュリティ対策を講じることができるようになります。
また、セキュリティアナリストは企業内だけでなく、コンサルティング会社や政府機関など、多様なフィールドで活躍することも可能です。
2-2. セキュリティコンサルタントの役割とキャリア
セキュリティコンサルタントは、クライアントの情報セキュリティ戦略の設計・実行、システムやビジネスプロセスの脆弱性を特定し、対策を提案するセールス的な役割を担います。
その業務内容は多岐にわたり、セキュリティポリシーの作成から脆弱性評価、教育プログラムの開発まで、企業のセキュリティ環境全体を視野に入れた提案活動を行います。
セキュリティコンサルタントの魅力は、様々な業界や企業のセキュリティ課題を解決することでビジネスに大きなインパクトを与え、その活動が売上に直結する点にあります。
セキュリティコンサルタントになるには、企業全体のビジネスを最適化するための業務知識、ネットワークやクラウドセキュリティなど幅広い情報セキュリティの専門知識、コンサルティングやプロジェクト管理能力も必要です。
これらの経験を通じて、セキュリティコンサルタントは情報セキュリティの分野で深い専門性とリーダーシップを発揮し、組織に属せずとも企業の重要なパートナーとなるキャリアパスが可能です。
2-3. セキュリティアーキテクトの役割とキャリア
セキュリティアーキテクトは、情報セキュリティ対策の全体設計を担当し、企業のITインフラ全体のセキュリティを確保する統制的な役割を果たします。
具体的な業務としては、セキュリティポリシーの策定、セキュリティシステムの設計と導入、新たなセキュリティ脅威に対する対策策定などを行います。
セキュリティアーキテクトになるためには、まずセキュリティエンジニアとして基礎的な知識と経験を積み、さらに高度な資格を取得しながらスキルアップしていくことが一般的です。
また、ネットワークやシステムの知識だけでなく、最新のセキュリティ技術と脅威についての深い理解、システム全体を見渡し、企業のビジネス要件とセキュリティ要件をバランス良く満たすセキュリティ対策を設計できる能力が必要です。
近年では、AIや機械学習技術を利用したセキュリティ対策の設計・導入も求められるようになってきており、これらの技術についての理解も必要となるでしょう。
具体的な資格としては、日本国内では情報処理安全確保支援士や情報セキュリティスペシャリスト、国際的な資格ではCertified Information Systems Security Professional (CISSP)やCompTIA Security+などが有用です。
セキュリティアーキテクトの経験を積むことで、大企業の最高セキュリティ責任者(CSO)や、セキュリティコンサルティング会社のパートナーなどへ進む道が開けます。
どの道を選んだとしても、常に最新の知識を習得し続け、技術だけでなく、経営視点や法律視点での知見も深めていくことが必要であり、企業全体のセキュリティを高めることが重要です。
3. まとめ
セキュリティエンジニアとしての道は、技術的知識とスキル、そして責任感を求める難易度の高いものですが、それだけにやりがいも大きい仕事です。
プログラミングスキルはもちろん、システムやネットワークの全体像を理解する能力、さらにはリスクを評価し対策を立案するための論理的思考力が求められます。
最後にセキュリティエンジニアのキャリアパスに迷ったときは、以下の3つの視点で自己分析をして方向性を定めて下さい。
1. 自分のスキルと興味
自分が得意とする技術や、興味がある領域は何かを理解することが重要です。
自己理解を深め、自分が得意とする技術や興味がある領域について、どのようにあなた自身のキャリアに反映できるかを考えてみましょう。
2. 目指す目標
自分が達成したいこと、なりたい自分は何か、それを明確にすることが大切です。
自身の内面的な目標を設定し、達成したい成果や目指す理想の自己像を明確に描くことで、目標に向けた具体的な行動計画を立てやすくなります。
3. 市場動向
需要が高まっている技術や分野を把握し、その流れに乗ることで、自分のスキルが価値あるものとなります。
これらを基に、自分だけの独自のキャリアパスを描き、自分自身のスキルと市場のニーズが一致する領域を見つけることで、やりがいを感じながらキャリアを築くことができるでしょう。