オブジェクト指向プログラミングとは?その特徴と代表的な言語を紹介
プログラミングというと、難しくて理解しにくいものと思われがちですが、実は私たちの身の回りにあるものや現象をモデル化して表現する方法の一つです。
プログラミングにはさまざまな種類や手法がありますが、その中でも最も一般的で人気の高いものがオブジェクト指向プログラミングです。
では、オブジェクト指向プログラミングとは、どのようなものなのでしょうか?また、どのような特徴やメリットがあるのでしょうか?
この記事では、オブジェクト指向プログラミングの基礎と特徴、そして代表的な言語を紹介します。
1. オブジェクト指向とは
オブジェクト指向とは、プログラミングの考え方の一つで、プログラムを構成する要素をオブジェクトと呼ばれるものに分割し、それぞれのオブジェクトが持つ属性や振る舞いを定義して、オブジェクト同士の相互作用によってプログラムを動かすというものです 。
オブジェクトとは、現実世界に存在するものや概念を抽象化したもので、例えば人、動物、車、図形、数値、文字列などがオブジェクトになります。
オブジェクトは、自分自身の状態や特徴を表す属性と、自分自身や他のオブジェクトに対して行う動作や処理を表す振る舞いを持ちます。
例えば、人というオブジェクトは、名前、年齢、性別などの属性と、話す、歩く、食べるなどの振る舞いを持ちます。
オブジェクト同士は、メッセージという形でやりとりをします。
メッセージとは、オブジェクトに対して何かを要求したり、何かを伝えたりするもので、例えば、人というオブジェクトに対して「名前を教えて」というメッセージを送ると、「山田太郎」というメッセージを返すというようなことです。
オブジェクトがメッセージを受け取ると、自分の持つ振る舞いの中から、そのメッセージに対応するものを選んで実行します。
これをメソッドと呼びます。メソッドは、オブジェクトの振る舞いを具体的に実装したもので、例えば、人というオブジェクトの「名前を教えて」というメッセージに対応するメソッドは、自分の持つ名前という属性を返すというものです。
このように、オブジェクト指向プログラミングでは、プログラムをオブジェクトの集合として捉え、オブジェクトの属性や振る舞い、メッセージやメソッドを定義して、オブジェクト同士の相互作用によってプログラムを動かします。
これにより、プログラムの構造や処理の流れが分かりやすくなり、再利用や拡張が容易になります。
2. オブジェクト指向の代表的な言語
オブジェクト指向プログラミングは、多くのプログラミング言語でサポートされていますが、その中でも代表的なものをいくつか紹介します。
2-1. Java
Javaは、1995年にサン・マイクロシステムズ(現オラクル)によって開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語です。
コンパイルという手順を経て、バイトコードという中間言語に変換され、バイトコードは、Java仮想マシンというソフトウェア上で実行されます。
それにより、Javaはプラットフォームに依存しない特徴を持ち、WindowsやMac、Linuxなど様々な環境で動作することが可能です。
Javaは、Webアプリケーションやスマートフォンアプリケーション、組み込みシステムなど幅広い分野で利用されています。
2-2. C/C++
C/C++は、1970年代に開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語です。
ハードウェアに近いレベルでプログラミングができ、メモリ管理やポインタ操作などができます。
そのため、C/C++は高速で効率的なプログラミングが可能な言語であり、オペレーティングシステムやゲーム、画像処理などの分野で広く利用されています。
2-3. PHP
PHPは、1994年に開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語です。
PHPは、スクリプト言語と呼ばれる種類の言語で、インタプリタというソフトウェアによって直接実行されます。
インタプリタは、プログラムを一行ずつ読み込んで実行できる、動的で柔軟な言語となっており、実行速度はコンパイルより遅いですが、プログラムの変更やテストが容易です。
PHPは、WebサイトやWebアプリケーションの開発に特化した言語であり、HTMLやCSS、JavaScriptなどと組み合わせて利用されます。
2-4. Python
Pythonは、1991年に開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語です。
シンプルで読みやすい文法や豊富なライブラリやフレームワークがあることなどから、多くの分野で広く使われています。
特にWebアプリケーションやデータ分析、機械学習などの分野で利用されることが多く、オブジェクト指向の言語の中でも柔軟性が高く、多様なプログラミングスタイルに対応できる言語です。
3. オブジェクト指向の特徴
オブジェクト指向のプログラミングには、以下のような特徴があります。
3-1. カプセル化
カプセル化とは、オブジェクトの属性や振る舞いを隠蔽して、外部からの不正なアクセスや操作を防ぐというものです。
カプセル化を用いることで、オブジェクトの内部の詳細を知らなくても、オブジェクトの振る舞いを利用することができます。
また、オブジェクトの内部の実装を変更しても、外部のプログラムに影響を与えないことができます。
カプセル化を用いることで、プログラムのモジュール性や保守性を高めることができます。
3-2. 継承
継承とは、既存のクラスの属性や振る舞いを引き継いで、新しいクラスを定義するというものです。
継承を用いることで、既存のクラスの機能を再利用したり、拡張したりすることができます。
継承には、親クラスと子クラスという関係があります。
親クラスとは、属性や振る舞いを引き継がれるクラスのことで、スーパークラスやベースクラスとも呼ばれます。
子クラスとは、属性や振る舞いを引き継ぐクラスのことで、サブクラスや派生クラスとも呼ばれます。
子クラスは、親クラスの属性や振る舞いをそのまま受け継ぐことができます。
また、子クラスは、親クラスの属性や振る舞いをオーバーライドすることができます。
オーバーライドとは、親クラスの振る舞いを子クラスで再定義することで、振る舞いの内容を変更するというものです。
さらに、子クラスは、親クラスにはない新しい属性や振る舞いを追加することができます。
継承を用いることで、プログラムの再利用性や拡張性を高めることができます。
3-3. ポリモーフィズム
ポリモーフィズムとは、同じ名前の振る舞いを、異なるオブジェクトで異なる内容に実行するというものです。
ポリモーフィズムには、静的ポリモーフィズムと動的ポリモーフィズムという種類があります。
静的ポリモーフィズムとは、オーバーロードという機能を用いて、同じ名前のメソッドや演算子を、引数の型や個数によって異なる処理を行うように定義することです。
例えば、足し算というメソッドを、整数同士の場合と小数同士の場合と文字列同士の場合とで異なる処理を行うように定義することができます。
4. まとめ
オブジェクト指向プログラミングとは、プログラムをオブジェクトの集合として捉え、オブジェクトの属性や振る舞い、メッセージやメソッドを定義して、オブジェクト同士の相互作用によってプログラムを動かすという考え方です。
オブジェクト指向プログラミングには、カプセル化、継承、ポリモーフィズムという特徴があります。
これらの特徴を用いることで、プログラムの構造や処理の流れが分かりやすくなり、再利用や拡張が容易になります。
オブジェクト指向プログラミングは、多くのプログラミング言語でサポートされており、その中でも代表的なものとして、Java、C/C++、PHP、Pythonなどがあります。
これらの言語は、それぞれに特徴や用途がありますが、オブジェクト指向プログラミングの基本的な概念や手法は共通しています。
ぜひ、皆さんもオブジェクト指向プログラミングを理解して、エンジニアとしてプログラミングの幅や深さを広げてみませんか。