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【まだ現役?】COBOLの現在と将来性
COBOL(Common Business-Oriented Language)は、主にビジネスアプリケーションの開発に使用されるプログラミング言語です。
1959年に開発され、それ以来、経済、財務、および行政の分野で幅広く利用されてきました。
COBOLは、大規模なデータ処理やトランザクション処理に特化しており、特に企業のバックエンドシステムで使用されることが一般的です。
1. COBOLの特徴
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COBOLの特徴をまとめてみました。
1-1. 英語に近い構文
COBOLの構文は英語に近く、私たち人間が理解しやすい形式で記述されています。
これは、ビジネスアプリケーションのロジックや処理が分かりやすく読みやすい形になっています。
1-2. データ処理の強み
COBOLは、大量のデータを処理する能力に長けています。
主にバッチ処理向けに設計されており、膨大なデータを高い信頼性で処理することが可能です。
1-3. レガシーシステムでの利用
COBOLはレガシーシステムと言われる保守や更新が難しくなったりするシステムなどで広く使用されており、多くの企業が長年にわたってCOBOLで書かれたシステムを使用しています。
これは、大規模なシステムの更新や移行が難しいため、COBOLシステムが依然として重要であることを示しています。
1-4. 国際標準規格のファイル処理
COBOLは、国際標準規格のファイル処理方法が整備されています。
これにより、記述の制約はありますが誰でも同じように記述でき、作成したアプリケーションが様々なデータ形式やデータベースにアクセスできるようになります。
ただし、COBOLは比較的古い言語であり、近年では新しいテクノロジーとの統合や新しいアプリケーションの開発には向いていません。
しかし、多くの企業がCOBOLで書かれたシステムを維持する必要があり、そのためにCOBOLプログラマーの需要が依然として高い状況が続いています。
2. COBOLが使用されているシステム
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それではCOBOLがどういったシステムで利用されているか以下にまとめてみました。
1.機関のバックエンドシステム
多くの銀行や金融機関は、バックエンドシステムでCOBOLを使用しています。これらのシステムは、口座管理、取引処理、顧客管理などの機能を提供します。
2.保険業界のシステム
保険会社も、COBOLを使用してポリシー管理、クレーム処理、請求処理などの業務を支援するシステムを運用しています。3.航空および交通業界の予約システム
航空会社や旅行代理店などの業界では、予約システムが広く利用されています。これらのシステムは、航空券の予約、座席の割り当て、料金計算などを管理します。
4.政府のシステム
政府機関も税務処理、社会保障管理、人口統計データの管理など、さまざまな業務を支援するシステムでCOBOLを使い運用しています。5.小売業界の在庫管理システム
小売業界では、在庫管理、売上予測、購買履歴の分析などに使用されることがあります。6.公共交通機関の運行管理システム
公共交通機関(バス、電車、地下鉄など)では、運行管理や乗客情報管理などに使用されることがあります。3. COBOLエンジニアの減少
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COBOLがどれだけ重要なシステムに使用されているかわかったと思います。
ただ、エンジニアは年々減少傾向にあります。その理由には以下の理由が考えられています。
1.高齢化と後継者不足
COBOLの開発は主に過去数十年にわたって行われてきました。その結果、COBOLのエンジニアの多くが高齢化しており、引退や労働力からの離脱が進んでいます。
若い世代のプログラマーがCOBOLを学ぶ意欲が低いため、COBOLの後継者が不足しています。
2.新しい技術への移行
近年、JavaやPythonのようなよりモダンで効率的なプログラミング言語や開発プラットフォームが登場し、企業はこれらの新しい技術への移行を進めています。その結果、COBOLの開発需要が減少し、COBOLエンジニアの需要も減っています。
3.教育機関のカリキュラム
多くの大学や専門学校のカリキュラムは、最新の技術やトレンドに焦点を当てており、COBOLの授業や学習機会が限られています。これにより、若い世代のプログラマーがCOBOLを学ぶ機会が減少し、COBOLエンジニアの育成が困難になっています。
また基本情報技術者試験でもCOBOLの分野が廃止されたことも原因の一つになっているようです。
4.市場の変化
COBOLの主な利用分野である金融や保険業界などでも、ビジネスの変化や技術革新により、新たなニーズや要求が生まれています。これに伴い、COBOLの開発が必要とされない場面が増えており、COBOLエンジニアの需要が減少しています。
5.離職率の増加
COBOLエンジニアの中には、レガシーシステムのメンテナンスや更新に対するモチベーションの低下や、モダンな技術への興味や関心の向上により、他の分野に転職する人も増えています。4. COBOLの将来
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1.レガシーシステムの維持と更新
COBOLは多くのレガシーシステムで使用されており、そのシステムは今後も長期間にわたって存在し続けるでしょう。そのため、COBOLエンジニアは引き続き需要があります。
企業は、これらのシステムをモダンな技術にマイグレーションさせるか、少なくとも更新して将来の要件に対応させる必要があります。
2.モダナイゼーションとクラウド移行
COBOLシステムのモダナイゼーションやクラウド移行が進む中で、COBOLエンジニアはそのプロセスを支援する重要な役割を果たすでしょう。既存のCOBOLコードを新しいアーキテクチャに統合し、クラウドベースの環境に移行させる技術やノウハウが求められます。
3.COBOLの教育と育成
若い世代にCOBOLを学ぶ意欲が低いため、COBOLエンジニアの育成が重要です。教育機関や企業がCOBOLの教育プログラムやトレーニングを提供し、新しい人材を育成することが必要です。
4.COBOLのモダン化
COBOL自体も進化し続けており、新しい機能や機能が追加されています。2002年にはオブジェクト指向にも対応しました。
COBOLエンジニアは、これらの新機能を活用してシステムをより効率的に、柔軟に、そしてセキュアに開発することが求められます。
5.業界との連携
COBOLエンジニアは、業界やコミュニティとの連携を強化し、最適な方法や最新のトレンドについて情報を交換していくべきだと思います。これにより、COBOLの将来に向けた共通の目標を築くことができます。
2023年にはCOBOLをAIを使用してJavaへ変換する「watsonx Code Assistant」を発表しました。COBOLをJavaへマイグレーションするツールを開発している企業もあります。
そのためJavaエンジニアもCOBOLを読めるようになる必要が出てくるかもしれません。
5. COBOLのコード”Hello World”
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最後にCOBOLの基本的なコードを記述します。
下記のプログラムは”Hello World”を表示させるプログラムです。
IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. HelloWorld.
PROCEDURE DIVISION.
DISPLAY 'Hello, World!'.
STOP RUN.
最初の方で説明した通り英語に近い構文になってます。
6. まとめ
今回は、COBOLがどのような場面で使用されていて、どれだけ重要な言語かを説明しました。
COBOLを使用したシステムはまだまだ世の中にたくさん存在していて、この記事を読んでいるみなさんがリタイアする年齢に達してもまだまだ使用されている言語だと思います。
JavaやPythonも重要な言語の一つですが、もしその他の言語を学びたいけどどの言語を学べば良いか迷ってる人がいれば是非この機会にCOBOLを学習して重要なシステムを守るエンジニアになってはいかがでしょうか。