RPA開発とは?メリットや開発手法、将来性について解説

公開日: 2024/12/19

近年、RPAは働き方改革や生産性向上のために注目されており、多くの企業が導入を検討しています。

しかし、RPAを導入するには、どのような開発手法があるのでしょうか?

また、RPA開発にはどのようなメリットや費用がかかるのでしょうか?


この記事では、RPA開発について、メリットや開発手順・費用について解説します。

1. RPAとは


RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、人間が行っている定型的なパソコン操作をソフトウェアロボットによって自動化する技術です。

1-1. RPAの特徴

RPAの特徴は、以下の3つが挙げられます。

1.システム構築が不要

RPAは、既存のシステムに影響を与えずに、ユーザーインターフェース上の操作を認識する技術とワークフロー実行を組み合わせて、業務プロセスを自動化します。

そのため、システム開発のような大規模な設備投資や専門知識がいりません。

2.幅広い対応が可能

RPAは、表計算ソフトやメールソフト、ERP(基幹業務システム)など、複数のアプリケーションを使用する業務に対応できます。

また、OCR(光学文字認識)やAI(人工知能)などの技術と連携することで、手書きや画像などの非構造化データの処理も可能です。

3.24時間365日稼働できる

RPAは、人間の代わりにロボットが作業を行うため、休憩や休日などの制約を受けません。

また、人間のようにミスや疲労を起こすこともありません。

そのため、作業の速度や正確性が高くなります。

1-2. 導入のメリット

RPAを導入するメリットは、以下のようにまとめられます。

1.作業時間の短縮とコスト削減

RPAは、人間が行っていた定型的な作業をロボットに任せることで、作業時間を大幅に短縮でき、それにより、人件費や教育費などのコストも削減できます。

総務省のRPA導入による効果を見ると、年間で8,000時間(1人1日8時間労働で計算すると約1,000日分)事務処理作業が削減したとされています。

2.付加価値の高い業務への集中

RPAは、人間が行っていた単純作業をロボットに任せることで、人間の負担を軽減できます。

その結果、人間は、創造性や判断力が必要な業務に集中することができ、これにより、イノベーションや付加価値の高い仕事が生み出されるでしょう。

3.データの活用と分析

RPAは、ロボットが作業を行う過程で、データを収集・蓄積・整理することができます。

これにより、業務の状況や効果を可視化し、改善や最適化のための分析に活用が可能です。

2. RPAの開発手法

2-1. 簡易型

簡易型のRPAは、基本的にプログラミング言語の知識は不要です。

基本的な作業を画面上で記録して、さらにアレンジを加えて動作を編集することで複雑な作業にも対応が可能です。

簡易型のRPAの開発手順は、以下のようになります。

1.ロボットに自動化したい業務の流れを記録する

RPAツールには、レコーダーと呼ばれる機能があります。

レコーダーを起動すると、画面上で行う操作が自動的に記録されます。


例えば、Excelのファイルを開いて、データをコピーして、別のファイルに貼り付けるといった操作を行うと、その操作がレコーダーに記録されます。

2.記録した業務の流れを編集する

レコーダーで記録した業務の流れは、ワークフローと呼ばれる形式で表示されます。

ワークフローは、操作の順序や条件などを視覚的に表現したものです。


ワークフローを編集することで、記録した業務の流れに変更や追加を行うことができます。

例えば、繰り返しの操作をループにする、条件分岐を追加する、変数や定数を設定するといったことができます。

3.ロボットを実行する

ワークフローを編集したら、ロボットを実行することで、自動化した業務の動作を確認することができます。


ロボットは、ワークフローに従って、画面上で操作を行います。

ロボットの実行中は、画面を操作したり、他のアプリケーションを起動したりすることはできません。

ロボットの実行が終了したら、結果やログを確認することができます。

・簡易型のRPAのメリット

簡易型は導入が簡単であるため、システム開発のような専門知識やスキルは不要で、社内で人材を育成できます。

また、外部委託する必要もなく、コストも抑えられます。

小規模から大規模なプロジェクトまで対応可能ですが、システム連携や画像認識などの高度な機能を利用する場合は、プログラミング言語の知識が必要になる場合もあります。

2-2. 開発型

開発型のRPAは、C#やJavaといったプログラミング言語を用いたカスタマイズが可能なRPAです。

複雑で高度な自動化を行う場合に利用されます。

開発型のRPAの開発手順は、以下のようになります。

1.ロボットに自動化したい業務の要件を定義する

開発型のRPAは、プログラミング言語を用いたカスタマイズが可能なため、自動化したい業務の目的や範囲、入出力、例外処理などを詳細に定義する必要があります。

具体的には業務のフローチャートや仕様書などを作成します。

2.ロボットに自動化したい業務のロジックをプログラミングする

開発型のRPAは、C#やJavaといったプログラミング言語を用いて、ロボットに業務のロジックを記述します。

RPAツールの開発環境やAPIを利用してコードを書きます。

3.ロボットをテストする

プログラミングしたロボットをテストすることで、自動化した業務の動作を確認することができます。

ユニットテストや統合テストなどを行い、バグやエラーを検出して修正します。

・開発型のRPAのメリット

開発型のRPAのメリットは、高度な自動化が可能であることです。

開発型のRPAは、プログラミング言語を用いたカスタマイズが可能なため、複雑で高度な自動化を行うことができます。


例えば、システム連携や画像認識などの高度な機能を利用することができます。

また、プログラミング言語の知識があれば、自由度の高い開発ができます。

開発型のRPAは、大規模で複雑なプロジェクトに適していますが、開発にはプログラミング言語の知識やスキルが必要であるため、外部委託する場合は、コストが高くなります。

3. RPA需要と将来性


RPAの需要は、働き方改革や生産性向上のために高まっています。

人間が行っている定型的なパソコン操作を自動化することで、作業時間の短縮やコスト削減、付加価値の高い業務への集中などのメリットを提供できます。

RPAの将来性は明るく、例えば、OCRやAIなどの技術と連携することで、手書きや画像などの非構造化データの処理も自動化できるようになるかもしれません。


RPAは、AIや自動化ツールとは異なり、既存のシステムに影響を与えずに、ユーザーインターフェース上の操作を自動化する技術です。

そのため、RPAの仕事そのものがなくなる可能性は低いと考えられます。

4. まとめ

RPA開発について、メリットや開発手順について解説しました。

RPA開発は、人間が行っている定型的なパソコン操作を自動化することで、作業時間の短縮やコスト削減、付加価値の高い業務への集中などのメリットを提供します。


RPA開発には、簡易型と開発型の二種類の手法があり、簡易型は、プログラミング言語の知識は不要で、画面上で作業を記録して編集することで、自動化できます。

開発型は、プログラミング言語を用いたカスタマイズが可能で、複雑で高度な自動化を行うことができます。


今後はこれらのRPA開発のスキルに加えて、AIや自動化ツールなどの親和性の高いスキルを習得して、キャリアアップを目指すことがRPA開発者の定石とされるでしょう。