【VMware Horizon】仮想デスクトップの構築
VMware Horizonとは、VDI化(デスクトップ仮想化)を実現するための仮想ソフトウェアの1つです。
VMware Horizonは、いくつかの基本コンポーネントによって構成された仮想ソフトウェアになります。
VMware Horizonは企業のシステム環境に合わせて、オンプレミスでもクラウドでも利用できます。
1. コンポーネント
…ソフトウェアやシステムを構成する部品のことをいいます。
ソフトウェア開発の時には、機能を部品化して開発することがあり、その部品化した「プログラム部分」のことをいいます。
コンポーネントは単体では使用せず、他のプログラムから呼び出されたり、他のプログラムと連結したりして使用されます。
コンポーネントを分けることにより、機能の追加・修正・削除がコンポーネント単位でできるようになります。
また、既存のシステムで使っていたコンポーネントを新規システムで使うときに使いまわすことができます。
コンポーネントが使用される時のイメージ図
(コンポーネントを呼び出して使用)
モジュールとの違いとしては、
モジュール:部品単独でも動作する
コンポーネント:部品単独では使用しない
2. VDIとは
VDIとは、Virtual Desktop Infrastructureの略で、仮想デスクトップ基盤(インフラ)と呼ばれています。
デスクトップをサーバー上に作り遠隔操作することで、どの端末からでも同じデスクトップを使えるようにする仕組みのことをいいます。
VDIでは、OS・ミドルウェア・アプリケーションといった作業に必要な基盤が、サーバー上にあるのが特徴です。
サーバー上で処理されたものが、手元の端末に転送されます。
2-1. リモートデスクトップとの違い
遠隔操作でOSを使う点では同じ仕組みです。
しかし、VDIは、利用者ごとに仮想マシンを作れますが、リモートデスクトップは1つのOSをみんなで共有する使い方になります。
VDIのイメージ
リモートデスクトップのイメージ
VDIでは仮想デスクトップを1人1台占有できるのに対し、リモートデスクトップでは複数で1台を共有するので、利用者ごとに独自の作業環境を構築したり長時間利用は難しくなります。
コスト面でいうと、1人1台の仮想デスクトップを準備するようになるVDIの方が高くなります。
■利用目的や頻度に合わせて、VDIとリモートデスクトップを使い分けましょう。
【VDIを使用する方がいい場合】
ユーザーごとに利用目的が異なる場合や利用頻度が多い
【リモートデスクトップを使用する方がいい場合】
同じ目的や業務で利用し、ユーザー同士の利用タイミングがあまり被らない
2-2. シンクライアントとの関係
シンクライアントとは、サーバ側でアプリケーションの実行やデータ管理などを行い、クライアント側では必要最低限のデータ処理しか行わないシステムのことです。
VDI(デスクトップ仮想化)はシンクライアントの一種で、シンクライアントと包括関係にあります。
VDIとシンクライアントの関係性
シンクライアントの3方式
シンクライアントには3つの種類がありますが、現在、VDIが主流になっています。
・サーバーベース型:1つのOS上でアプリケーションの利用のみ共有
・ブレードPC型:1人あたりブレードPC1台と沿革操作用端末1台の計2台で運用
・デスクトップ仮想化(VDI)型:1つのサーバーに複数の仮想デスクトップを準備
2-3. VDI 2種類
VDIには、オンプレミス型とクラウド型(DaaS)の2種類があります。
●オンプレミス型…自社のサーバーを所有し、独自で構築していく
●クラウド型…クラウドサーバーで提供されている仮想デスクトップサービス(DaaS)を契約して利用する
2-4. VDIのメリット・デメリット
■メリット
・セキュリティが高められる
サーバーに作業内容やデータが保存されるため、操作端末の紛失や盗難・ウイルス感染などによる情報漏洩のリスクを下げられます。
・業務効率化が図れる
いつでもどこでも同じデスクトップ環境で作業ができます。テレワークの実現もできます。
・管理の手間が省ける
ユーザー全員のOSやアプリケーションなどがサーバーに集約されているので、更新作業なども一括して行えます。
・コスト面で他方式に比べて優位
他方式に比べて安価に導入することが可能です。VDIは、全体の利用率に合わせてリソースを準備すればいいため、ローコストで稼働することができます。
■デメリット
・ネットワークやサーバー環境に依存する
環境に依存するため利用者が多いとレスポンスが悪くなる可能性があります。
・ネットワーク障害やサーバー障害時は何もできない
シンクライアント全てに言えることですが、障害時にオフラインになってしまうと業務ができなくなります。
3. 仮想化とは
仮想化とは、パソコンやサーバー、ストレージ、ネットワークなどのハードウェアリソースを、ソフトウェアを用いて複数の資源を統合したり、1つの資源を分割して複数に見せたりする技術です。
■仮想化技術の種類
・サーバー仮想化
・ストレージ仮想化
・ネットワーク仮想化
・デスクトップ仮想化
4. VMware Horizonのコンポーネント
https://jpn.nec.com/soft/vmware/view/configuration.html
①Connection Server
中心的なコンポーネントで、ユーザーと仮想マシンの接続について管理します。
②Horizon Agent
Connection Serverとやり取りをし、ユーザーからの要求の受け入れをしたり仮想マシンの画面を端末に送信したりするコンポーネントです。
③Unified Access Gateway
DMSなどに配置することで、安全に仮想マシンに接続します。
④Horizon Client
端末からConnection Serverに接続し、仮想マシンの画面を表示するために必要なコンポーネントになります。
⑤App Volumes
仮想マシンにアプリケーションを瞬時に展開することが可能になるソフトウェアです。
⑥Dynamic Environment Manager
仮想マシンにあるアプリケーション設定などを管理者側で一元管理できるようになるソフトウェアです。
⑦vSphere(ESXi)
物理サーバーにインストールすることで、複数台の仮想マシンを動作させることができるソフトウェアになります。
⑧vCenter Server
複数のESXiを管理するソフトウェアになります。
5. 基本機能
VMware Horizonは、仮想化基盤ソフトウェア「vSphere」と密接な連携がされていて、多数の機能を提供しています。
5-1. 仮想基盤と一括管理
Horizonは、仮想化基盤の「vSphere」がデファクトスタンダードになります。
そのため、サーバー仮想化などですでにvSphereを使っている場合は、vCenterを使用して仮想マシンの確認や操作が可能です。
5-10. サポートしているアクセス端末
Horizonはさまざまなアクセスをサポートしており、種別ごとに専用の接続ソフトウェアがあります。
・Windows
・Mac
・Linux
・iOS
・Android
・Chrome OS
・HTMLアクセス(Webブラウザーを使用したHorizonへのアクセス)
5-2. DRS
vSphere Distributed Resources Scheduler(DRS)を使用することで、vSphereがESXiホストごとの負荷を監視し、負荷状況によって仮想マシンの配置を最適化することができます。
完全自動化・レコメンデーションのみの掲示が設定により可能になるため、運用に沿った利用が可能です。
5-3. インスタントクローン
インスタントクローンは、多数の仮想マシンを展開する方法です。
多数の仮想マシンを同じ構成で作成するため、インスタントクローンが有効的です。
ディスク容量をあまり消費せずに展開ができるうえに、展開時間も高速です。
5-4. VSA
View Storage Accelerator(VSA)は、仮想マシンのディスクアクセスを高速化します。
VSAを有効にすることで、ストレージから頻繁に読み込みしているデータをESXiのメモリにキャッシュします。
そのため、アクセスが高速になります。
5-5. PCoIP
PCoIP とは、Horizon で使用される画面転送プロトコルになります。
仮想マシンの出力イメージを端末に転送するために使用し、画質についても細かいチューニングが可能になります。
5-6. Blast Extreme
Blast Extremeとは、モバイルクラウドネットワーク環境向けに開発・最適化された画像転送プロトコルになります。
帯域の消費量は少なく、バッテリーの消費量も抑制できることから、モバイルデバイスでの利用に最適です。
5-7. Remote Desktop Session Host(RDSH)
Horizonは、VDIだけでなく、リモートデスクトップサービスも使用できます。
PCoIPを含めたHorizonの機能をアドオンできます。
5-8. App Volumes
App Volumesによって仮想マシンにアプリケーションを瞬時に提供できます。
App Volumesを導入することで、テンプレートが統一でき、メンテナンスもしやすくなります。
5-9. スマートポリシー
スマートポリシーによって、ユーザーの役割や状況に応じて、USBとクリップボードのコントロール、ドライブのリダイレクション、プロトコル設定等のポリシーを割り当てることができます。
6. VMware Horizonのメリット
・ROIの向上に期待できる
・データ保護とコンプライアンスを守れる
・オンプレミスとクラウドの管理を行いやすくなる
7. VMwareの種類
VMwareの種類はいくつかあります。
・VMware Workstation
・VMware Fasion
・VMware Player
・VMware vSphere
8. まとめ
仮想化デスクトップを実現するための方法がいくつかあるのだと知ることができました。
また、リモートデスクトップとの違いやシンクライアントとの関係性で、VMware Horizonの機能や役割を学ぶことができました。
似ている機能で、少しずつ特徴が違うものがたくさんあるのだと改めて思いました。
ユーザーがどんな状況で使いたいのか把握して、どういう接続がいいのか判断していかなければならないですね。