テスト自動化ツールとは?メリットデメリットやオススメツールもご紹介!

公開日: 2023/8/14

皆さんはテスト自動化ツールについてご存じでしょうか。

開発プロセスにおいて必要不可欠な工程としてテスト工程がありますが、そのテストを自動化して膨大な工数を削減することができるツールとなっております。

また人がテストをしていてはどうしてもミスが生じてしまいますが、テスト自動化ツールの場合は自動で行ってくれるので使い方さえ間違えなければミスが発生することはありません。

特に大規模なプロジェクトになるほど効果を発揮してくれるテスト自動化ツールについて今回はご紹介いたします。

1. テスト自動化ツールとは


テスト自動化とは、テスト工程開発向けのソフトウェアを用い、アプリケーションテストにおける設計や実行、結果の確認およびエビデンスの作成、進捗管理といった一連の工程の一部あるいはすべてを自動化することを意味します。


本来、開発規模が大きくなればなるほどテスト工程にかかる工数も大きくなり、膨大な量のテストをこなす必要があります。

そのテストを実施するためにはテスト設計書を作成する必要があるのですが、膨大な量のテストに対してテスト実施手順や結果を1つ1つ正確に作成する必要があります。

ここでよくあるのが人的ミスによるバグのすり抜けです。

その人的ミスを防ぐのがテスト自動化ツールとなります。


テスト工程を完了させることに必要なテスト設計書の作成から実施、結果妥当性の確認およびエビデンス取得、さらにテスト状況の進捗を管理することまで自動化することができ、人的リソースをバグ修正や根本原因の解析などの品質担保の活動に充てることができます。

2. テスト自動化のメリット

テスト自動化を実施することのメリットを下記に述べます。

2-1. 大規模なプロジェクトにおいてテスト工数の削減が見込める

上記でも述べましたが、規模が大きなプロジェクトであるほどテスト工数も膨大になっていきます。

当然ですが改修する機能が多くなればなるほどテストを実施する内容も多くなるためです。

以下テスト自動化を実施しない、テスト設計書の作成や実施を人間が行った場合のテストを「手動テスト」と定義します。


手動テストはテスト工数が少ない場合は有効に働きます。

例えば数機能の簡単な修正等の場合はテスト自動化ツールの導入を行う必要がないでしょう。

すべてのプロジェクトにおいてテスト自動化を実施する必要はありません。


しかし大規模なプロジェクトにおいてはテスト自動化ツールを導入することにメリットがあります。

テスト自動化ではとりわけ想定値テストが向いていますが、大規模なプロジェクトになるほど人的ミスも発生しやすく想定値も複雑となります。

テストプログラムを作成し、自動でテスト実施を行えば素早くかつ正確にテストを実施することが可能です。


もちろんテストを自動化したとしても、開発工数が大きくなればなるほど工数はかかりますが、手動テストよりもその傾きは小さいものとなります。

下記図を見ていただけるとイメージがわくと思います。


https://shiftasia.com/ja/column/テスト自動化とは/


2-2. 人的制約を無くすることができる

テスト自動化において、他のメリットを挙げるならば、人的制約を無くすことができる点があります。

まず挙げられるのが人的ミスの点です。

テストプログラムを作成し、プログラムに自動的にテストを実施して貰えば判定誤りがありません。

もちろん、テストプログラムを正しく実装する必要はありますが、人的に全て目視でテスト実施するよりもミスは無くなります。


また、テスト自動化を実施すれば任意の時間帯に任意の回数テストを実施することができます。

これは結果的にバグを発見しやすくなることになり、品質向上が見込めます。

テスト要員不足によるテスト実施の不足に陥る可能性も減少することができます。

3. テスト自動化の注意点

テスト自動化に注意する点として、以下が挙げられます。

どれも気をつけていないと結果として手動テストよりもコストがかかってしまった等考えられてしまうので留意してください。

3-1. プロジェクトの規模が小さい場合

テスト自動化ツールを導入するのにも、コストがかかります。

導入費用およびランニングコストだけでなく、そのツールを使いこなせるようになるまでにも時間がかかります。

そのため、そのコストがあればテストが完了してしまうような場合は、導入するべきではなくあくまで手動テストで実施するべきです。

テスト自動化ツールを導入するのは、大規模なプロジェクトで、膨大なテストケースを実施しなくてはならない場合が前提となります。

3-2. テストケースが人的感覚を必要とする場合

例えばですが、レイアウト崩れや意図した画面配色ではなかった等、UI観点に則ったテストはテスト自動化は難しいと言われています。

何故ならその合格基準はあくまでユーザーが判断するべきものであるためです。

つまり、総合テスト(ST)やユーザー受け入れテスト(UAT)のようなテストでは自動化は難しいです。

もちろん、シナリオに沿った想定値テストであればテスト自動化ツールを導入する余地はありますが、全てのテストを自動化できるわけではない点に注意しなくてはなりません。

3-3. テスト自動化は保守が必要

テスト、自動化ツールを導入する際の障壁として保守が必要となります。

例えば、テストケースに従ってテストプログラムを作成した場合、そのプログラムが改修されるたびに、そのテストプログラムもまた改修する必要があります。

そのため既存のプログラムだけではなく、改修範囲が広がるため場合によっては工数がかかってしまうというリスクがあります。


例えば、アジャイル開発といった設計から、実装テスト工程が短いサイクルで繰り返されるような開発モデルの場合は、特に本点について考慮する必要があります。

4. 代表的な自動化ツール


ここでは、代表的なテスト自動化ツールとして2つ紹介します。

もしテスト自動化ツールの導入を考えている場合は、以下の内容を参考に導入を検討してみて下さい。

4-1. Selenium

公式HP:https://www.selenium.dev/ja/


セレニウムは、一般的にブラウザでのテストを自動化するために開発された自動化ツールとなります。

具体的には、操作をレコーディングして記憶し、それをそのままテストケースとしてテスト設計書を作成することができます。

また対応ブラウザも充実しており、幅広いテスト環境で導入することができます。

4-2. Jenkins

公式HP:https://www.jenkins.io


Jenkinsとは、CI(Continuous Integration = 継続的インテグレーション) ツールです。

継続的インテグレーションとは、プログラムのビルドからテストケースの作成、テスト結果にしたかってシステムへの反映までを一貫して実施してくれるツールを意味します。

またビルド後にコード解析を行ってくれ、脆弱性診断やアーキテクチャ上の問題なども診断してくれます。

5. まとめ

今回はテスト自動化についてご紹介しました。

手動テストではなく自動テストということで、大規模なプロジェクトであれば、テスト工数を大幅に削減することができます。

もちろん、導入コストはかかるのですが、いちど使いこなせてしまえばそのテスト、自動化ツールをメンテナンスするだけで繰り返し使うことができます。


テスト工数は開発するプロジェクトの規模に比例して大きくなりますので、もし大規模開発であったり、継続的な開発を行う場合はぜひ導入してみてはいかがでしょうか。

一方で、テスト自動化ツールが苦手とするテストもありますので、導入する際は必ず費用対効果を煮込んだ上でプロジェクト計画の段階で導入するか否かを決める必要があるでしょう。