C言語とC#・Objective-Cの違い

公開日: 2024/12/23

C言語は1972年にAT&Tベル研究所と呼ばれる場所で、ブライアン・カーニハンとデニス・リッチーが開発したプログラミング言語です。

プログラミング言語の中では比較的歴史の長いものでありながら、現在でも現役で開発に利用されています。


実際、「TIOBE Index for April 2021」と呼ばれるプログラミング言語の人気・利用状況ランキングを見ると、C言語は1位に君臨しています。

2020年は2位でしたが、2021年には1位になっていますので今でも多くの需要があり注目されていると考えられます。

また、C言語には資格も様々あり、需要に応えられるよう専門的に学ぶこともおすすめの言語です。


C言語はコンパイルが必要なプログラミング言語です。

コンパイルが必要なプログラミング言語は、処理速度が早い特徴があります。

他のプログラミング言語よりも高速なアプリケーション開発が可能となり、その点が今でもC言語を活用する理由ともなっています。

1. C言語の特徴


1.処理が高速

プログラミング言語の中でも、処理速度が高速です。

コンパイルして利用するプログラミング言語は高速なものが多く、C言語はそれらの中でも特に高速である特徴を持ちます。


また、C言語の処理が高速である背景には、プログラムが軽量であることが挙げられます。

ソースコードやコンパイル後の容量が大きいと徐々に速度を遅くしてしまいますが、C言語ではあまりそのような問題が起きません。

軽量かつ高速で動作する特徴があるのです。

2.利用用途が広い

C言語は利用用途の広いプログラミング言語です。

具体的には後ほどご説明しますが、皆さんがイメージするソフトではもちろん、OSや組み込みソフトウェアまで開発できます。


様々な用途に利用できるのは、C言語が高速で軽量なプログラミング言語であるからです。

上記で説明したような特徴があるからこそ、様々な用途で利用できるようになっているのです。

数あるプログラミング言語の中でも、用途は広いと言えるでしょう。


もちろん用途が広いといえども、全てのソフトウェアを開発できるわけではありません。

C言語では開発できないものやC言語での開発に適さないものもあります。

万能なプログラミング言語ではありません。

C言語では開発できないものやC言語での開発に適さないものもあります。万能なプログラミング言語ではありません。

1-1. C言語の開発例

C言語で具体的にどのようなものが開発されているのかイメージを持っておきましょう。

様々なプログラムを開発できますが、ここでは代表的なものをご紹介します。

1.ロボット・機器

ロボットや機械を動かすためのプログラムを開発できます。

一般的には組み込みソフトウェアと言われるもので、比較的軽量なプログラムが多くなっています。


組み込みソフトウェアとは、家電製品などに搭載されるソフトウェアを指します。

例えば電子レンジを利用すれば、ボタンを押すことで様々な動作をさせられます。

このような制御にC言語で作られたソフトウェアが利用されている場合があるのです。

他にも工場で動作するロボットにC言語のソフトウェアが搭載されている場合もあります。


特徴でご説明したように、C言語は軽量かつ高速に動作します。

そのため、少しのリソースでソフトウェアを動かしたい組み込みソフトウェアの開発に適しています。

シンプルなプログラミング言語だからこそ、開発しやすいといっても良いでしょう。

2.ソフトウェア

一般的なソフトウェアの開発にも利用されます。

こちらは上記でご説明した組み込みソフトウェアではなく、パソコンなどで利用するソフトウェアを指します。


例えばC言語を利用して数値演算に関するソフトウェアを開発できます。

複雑な演算を駆使して処理するようなプログラムを作成できます。

また、 Webアプリケーションと呼ばれるものもC言語で開発できます。


ただ、C言語単体ではリッチユーザーインターフェイスを作るのに適していません。

そのため、ソフトウェアを開発する際は他のプログラミング言語と組み合わされる場合があります。

画面部分と処理部分を異なった言語で開発するのです。

3.OS

パソコンやスマートフォンなどの機器を制御する、OS(オペレーティングシステム)が開発できます。

上記でご説明した組み込みソフトウェアと似たような要素はありますかが、OSはさらに複雑なものです。


OSはパソコンなどを動かす基盤になりますので、可能な限り軽量であることが求められます。

OSの動作が重たいとパソコンなどが全体的に重くなり、利便性が悪くなってしまうのです。


特徴でご説明したとおり、C言語は比較的軽量なプログラミング言語です。

そのためこちらでOSを開発すれば、軽量なものを生み出しやすくなります。

C言語の特徴を生かしてOSは開発されているのです。

2. 「Objective-C」の基礎知識


Objective-C は、MacBookやiPhoneといったApple製品のアプリ開発に使用されるプログラミング言語です。

AndroidのアプリやWebサービス開発ではあまり使用されないので、Apple製品のユーザーでなければ馴染みの薄い言語かもしれません。


一方、MacBookを使用して昔からアプリ開発をしていた方には、馴染みのある言語でしょう。

というのも、Appleのアプリ開発に使用できる言語は、一昔前まではObjective-Cのみだったからです。


しかし、XamarinやCordovaが開発されたことにより、C#やJavaScriptが使用できるようになり、新しい言語としてSwiftも誕生しました。

現在では、macOSやiOSのアプリ開発には新しい言語であるSwiftが使用されることも多くなっています。

2-1. Objective-Cとは

Objective-Cは、C言語にSmalltalkというプログラミング言語の特徴を組み合わせて作られた言語です。

C言語特有の記法に加えて、Smalltalkの特徴の一つであるオブジェクト指向というパラダイムを持ちます。


C言語にオブジェクト指向を追加した言語といえば、C++が浮かぶ方もいるかと思いますが、それぞれC言語の拡張の仕方に違いがあります。

C++ではオブジェクト指向を取り入れるために言語の仕様を改変していますが、Objective-CはC言語の記法を守りつつ、拡張的に機能を盛り込んだ仕様となっています。


そのためObjective-Cは、コンパイラディレクティブを使用してクラスを定義するといった大きな特徴があります。

現在主流のJavaやC#といった言語と比べると、書き方が特殊であると感じる方も多いでしょう。

2-2. Objective-Cの歴史

Objective-Cは、コンピューター科学者であるブラッド・コックスとトム・ラブらによって、1983年に開発されました。

開発のきっかけは、「一般の人々の生産に影響を与えるようなシステム作り」を考えたことから始まります。


このようなシステムは、現在ではグループウェアと呼ばれますが、当時主流であったC言語で理想のシステムを作ることは難しかったそうです。

そこでSmalltalkのオブジェクト指向という特徴に着目して、C言語に同様のパラダイムを持たせて開発できないかと考えました。

そうして生まれたのが、Objective-Cです。


ブラッド・コックスはObjective-Cを開発すると、Stepstoneという企業を立ち上げてコンパイラやライブラリの支援をします。

しかし、当時は他の言語に埋もれてしまって、それほど認知度は上がりませんでした。

その後、今のように認知度が上がるきっかけを作ったのが、スティーブ・ジョブズです。


Appleを退社したジョブズがNeXTという会社を立ち上げて、NeXTSTEPと呼ばれるオペレーションシステムにObjective-Cを採用したのです。

これが大成功したため、Apple社はNeXT社を買収。

その後、Objective-Cを使用したMac OS Xが発売されると、Objective-Cは飛躍的に認知されることとなったのです。

3. Objective-Cのメリット・デメリット


Objective-Cのメリットは、頻繁に使用されるようになってから10年以上も経っているため、ライブラリが充実しているという点です。

ライブラリが豊富であると、開発を効率的に進められます。

また、アップデート時にも大きな変更点がないので、エンジニアが急な対応に迫られることがありません。


一方で、Objective-C はSwiftと比べると難解で癖があり、冗長的な記述になりやすいというデメリットがあります。

そのため学習が難しく、工数がかかってしまうこともあります。

Swiftが発表されたことによって、今やObjective-Cはレガシーな言語になりつつあります。

4. まとめ

同じCとつく言語とはなりますが、内容は全く違うものとなります。

C言語は未だよく使われている言語ではありますが、Objective-CはSwiftなどの新しい言語により、衰退の道をたどっています。

しかし、まだObjective-Cは使われることが多いので、案件によっては、使うこともあるかもしれませんので、知識を習得する選択肢もありでしょう。