
【Webサーバー】IISについて学ぼう
WebサーバーであるIISについて皆さんご存じでしょうか。今回は数あるWebサーバーの中でIISについて学んでいきたいと考えています。IISとはなにか、メリット・デメリットはなにかを調査してまとめてみました。
1. IISとは
正式名称は、Microsoft Internet Information Serviceです。
IISはMicrosoft Windowsの標準Webサーバー(アプリケーションサーバー)サービスとなります。HTTP/HTTPS、FTP、SMTP、NNTP等の基本的なプロトコルをサポートしています。クライアント版に付属するIISでは機能制限が行われています。
もともとInternet Information Serverという名称で、Windows NT Server上で稼働するアドオンソフトウェアという位置付けでありましたが、Windows 2000 Server登場時にシステムの標準サービスに位置付けられ、現名称に改められました。
歴史としては、1995年に「IIS 1.0」の提供が開始されて、現在(2024年4月24日)のバージョンは「IIS 10.0」となっています。
IISはサービス開始当初、多くのそして重大なセキュリティホールが頻繁に発見されました。過去にはCode RedやNimdaといったワームの蔓延により大規模な障害を引き起こしました。特にWindows 2000では標準で組み込まれるため被害が大きくなりました。
しかし、IIS 6.0においてアーキテクチャを過去のIISに比べ大幅に変更し、発表から2007年1月の間にわずか3つの脆弱性しか発見されないレベルまでセキュリティを向上させています。また、安全性確保のため初期状態ではインストールされないようになりました。
また、マイクロソフトでは旧バージョンのIIS 4.0、IIS 5.0、IIS 5.1に対しては、セキュリティ対策用のツールとして「IIS Lockdown Wizard ツール」を配布し、セキュリティの向上を促しています。
2. IISの機能とは
1.Webサーバーの基本機能がある
Webサーバーの基本機能とは、クライアントからの要求に対応し、Webサーバーに保存されたHTMLや画像データなどを送信することです。クライアントがサーバーに送る要求のことを「リクエスト」、サーバーがクライアントの要求に応じて情報を送り返すことを「レスポンス」と呼びます。また、セキュリティや監視といった機能もWebサーバーの基本機能に含まれています。
2.FTPサーバーの機能がある
FTPとは、「ファイル転送プロトコル」とも呼ばれ、Webサーバーとのファイルの送受信を実現するプロトコルのことです。FTPサーバーは、FTPを用いてデータの送受信を行うコンピューターのことで、接続によりサーバーからデータをダウンロードしたり、コンピューターからサーバーにデータをアップロードできたりします。
IISには、FTPサーバーとしての機能を組み込むことも可能となっています。そのため、Windows用のFTPサーバーソフトを別途インストールする必要はありません。
3.動的Webページ生成機能がある
IISならではの機能として、ASP.NETを使用できる点が挙げられます。ASP.NETとは、Microsoft社が提供しているWebアプリケーション開発の枠組みのことです。同じくMicrosoft社が提供するVisual Studioと併用することで、HTMLやHTTPなどの知識がそこまでなくても、簡単に動的なWebページや高機能なアプリケーションを生成できます。IISを設定すれば、ASP.NETで作成したファイルを簡単に表示できるようになります。
3. IISのメリットとは
1.操作がしやすい
IISは、多くの方が使い慣れているWindowsのOS上で利用できるため、操作しやすいWebサーバーソフトといえます。Windows OSやSQL ServerといったMicrosoft製品と親和性が高いのもポイントになっています。
また、ApacheやNginxは、命令文を入力して操作するCUI(キャラクタ・ユーザ・インタフェース)であるため、コマンドを覚える必要があります。一方、IISはグラフィックを多用した情報表示が特徴のGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)であり、直感的な操作が可能です。コマンドを覚える必要がなく、マウスで視覚的に操作できます。このように、操作性の高さが大きなメリットになっています。
2.安心のセキュリティ設定がある
IISは、セキュリティの設定がわかりやすいため、安心して使用できます。Webサーバーサービスを使ううえでは、アクセス制御やIIS認証、SSLやログ採取の設定などを行わなければなりません。さらにサーバー証明書のインストールも必要で、これらの設定がわかりやすいのがメリットです。また、日本語の公式マニュアルが多いため、英語が得意ではない方でも安心して使えます。さらに、サポート体制が充実しているのが魅力となっています。
3.拡張機能が充実している
IISは、拡張機能や開発環境が充実しています。Windows系の開発環境と親和性が高いため、ASP.NETや.Net Frameworkなどと併用することで、機能の拡張が可能です。
これらの拡張機能はデフォルトでは無効に設定されています。管理者権限を持つユーザーが明示的に許可することではじめて使用できるため、システムの安全性が高いのもメリットになっています。
4. IISのデメリットとは
1.同時接続数制限に注意しなければならない
クライアント版WindowsでIISを使う場合は、Pro以上では10、通常版では3などエディションごとに最大接続数の制限があります。
2.使用するOSに注意しなければならない
LinuxなどほかのOSにIISをインストールして使用することはできないです。ほかのOSを使用する場合は、ApacheやNginxの採用を検討することになるかと考えられます。
5. IISのインストール手順(Windows 10版)
1.[Windwos] + [R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを表示します。
2.「名前(O):」欄に「control」と入力し、[OK]をクリックしてコントロールパネルを表示します。
3.コントロールパネルから「プログラム」をクリックします。
4.「プログラムと機能」にある「Windows の機能の有効化または無効化」をクリックします。
5.「インターネット インフォメーション サービス」と「インターネット インフォメーション サービスのホスト可能なWebコア」にチェックを入れて、「OK」をクリックします。
※変更が適用されるため、終わるのを待ちます。
6.変更が適用された後、「閉じる」をクリックします。
7.再度コントロールパネルを開いて「システムセキュリティ」をクリックします。
8.「管理ツール」をクリックします。
9.「インターネット インフォメーション サービス(IIS) マネージャ」をダブルクリックします。
10.ブラウザにて、http://127.0.0.1/ もしくは http://localhost/ と入力し、IISのサンプル画面が表示されることを確認できたら成功です。
6. IISの起動手順(Windows 10版)

1.「インターネット インフォメーション サービス(IIS) マネージャ」を開きます。※開くまでの手順は割愛
2.左側にある「DESKTOP~」と記載されている階層を開きます。
3.「サイト」の階層を開きます。
4.Default Web Siteを選択し、右側に「基本設定...」をクリックします。
5.デフォルトは、「%SystemDrive%\inetpub\wwwroot」になっています。ここに配置したファイルが表示されています。「C:\Users\XXXX\OneDrive\ドキュメント\html」に変更します。
6.「C:\Users\XXXX\OneDrive\ドキュメント」を開き、htmlフォルダを右クリックし、「プロパティ(R)」をクリックします。
7.タブを「セキュリティ」に切り替えます。
8.「アクセス許可を変更するには[編集]をクリックします。」という箇所にある「編集(E)...」をクリックします。
9.「追加(D)...」をクリックします。
10.「選択するオブジェクト名を入力してください(例)(E)...」の箇所へ「IUSR」を入力し、「OK」をクリックします。
11.htmlのアクセス許可画面は「OK」をクリックします。
12.「C:\Users\XXXX\OneDrive\ドキュメント」に「test.html」ファイルを作成します。内容は以下の通りにします。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>Hello World!!!</title>
<meta charset="utf-8">
</head>
<body>
<h1>Hello World!!!</h1>
<p>ようこそ世界!!!</p>
</body>
</html>
13.http://localhost/test.html にアクセスします。
14.htmlに記載された内容が表示されたら成功です。
1.端末からのアクセス
Webサーバーを起動することによって、ほかの端末からアクセスすることができます。以下はその手順になります。
1.[Windwos] + [R]キーを押して、[ファイル名を指定して実行]ダイアログを表示します。
2.「名前(O):」欄に「cmd」と入力し、[OK]をクリックしてコマンドプロンプトを開きます。
3.ipconfig と入力して、IPアドレスを確認します。(IPv4アドレス)
4.ほかの端末にて、http://IPアドレス/test.htmにアクセスします。
5.アクセスした端末で、htmlに記載された内容が表示されたら成功です。
※実際に手順をまとめながら起動してみました。無事、PCでIISを起動して携帯(iPhone)からつながることは確認できました。ローカルPCの中に格納してあるhtmlファイルへ、実際に、簡単に携帯(iPhone)からアクセスできるのは嬉しかったです。
7. まとめ
Windows版だと最初からIISがあり、設定も簡単で便利なWebサーバーだと感じました。
この記事を読んだ方が少しでも理解していただけたら幸いです。