
【初心者向け】様々なシステム開発手法
公開日: 2025/3/3
システム開発には作成するサービスやプロジェクトによって適切な開発手法がいくつかあります。
今回はシステム開発の手法を数種類紹介して、それぞれの特徴や、メリット、デメリットを紹介します。
下記が主な開発手法の一覧になります。
・ウォーターフォール型開発
・アジャイル型開発
・プロトタイプ型開発
・スパイラル型開発
・DevOps(デブオプス)
・リーン開発
では次からそれぞれの開発手法の特徴とメリット、デメリットを紹介します。
1. ウォーターフォール開発

まずはウォーターフォール開発からです。
ウォーターフォール開発は、ソフトウェア開発手法の一つで、「要件定義」、「設計」、「開発」のような順番でプロジェクトが段階的かつ順序立てて進行する手法です。
この手法では、開発における各工程が細かく独立して区切られているため、工程ごとの進捗管理や品質管理がしやすく大規模で複雑なプロジェクトでよく使用されています。
メリット
・各工程が細かく独立して区切られているため開発の段階で必要な工数が分かり、スケジュールや人員の管理がしやすい
・「何を作りたいか」を明確にしてその手順通りに開発を進めるため品質の担保をしやすい
デメリット
・企画や要件定義を十分に行い開発に移るため開発期間が長期化しやすい
・最初に全体像を完成させてから開発に移るため仕様変更が起きた際にコストが余計にかかってしまう
上記のメリット、デメリットから高品質が必要で仕様変更が起きにくい開発に向いています。
例:経理システム、銀行のATM、携帯会社の通信システムなど
2. アジャイル開発

続いてアジャイル開発です。
アジャイル開発とはウォーターフォール開発とは対照的に大きな単位でシステムを区切ることなく、「計画」、「設計」、「実装」、「テスト」の小単位で実装とテストを繰り返すため開発期間が短くなると同時に、仕様変更が起きやすいシステムの開発で取り入れられています。
メリット
・短いサイクルを通じてシステムを開発することで、仕様の変更に対応できる・要件の全体像が漠然としているプロジェクトの進捗具合を確認しながら開発することができる
デメリット
・短いスパンでの開発になるため細かなコミュニケーションが必要になり、コミュニケーションが足りない場合は顧客との意見に相違が生まれる・小単位でチーム単位での開発になるためスケジュール管理がしにくく、納期に間に合わない可能性が出てくる
上記のメリット、デメリットから仕様の変更が起きることが前提のプロジェクトや仕様が曖昧なプロジェクトに向いています。
例:ゲーム開発、モバイルアプリ、新しい製品やサービスの開発
3. プロトタイプ型開発

続いてプロトタイプ型開発です。
プロトタイプ型開発は、ソフトウェアや製品の開発プロセスで使用される手法の一つです。
この手法では、開発チームが早期段階でプロトタイプ(試作品)を作成し、プロトタイプに対するユーザーやクライアントのフィードバックをもとに仕様を決めていく開発手法です。
プロトタイプ開発では、要件定義で大まかな仕様だけを決め、プロトタイプの検証、評価、改良を繰り返しながら詳細を詰めていきます。
メリット
・早い段階で試作品が完成するため、実際に稼働するシステムを共有し合い、細かい仕様を決定していくことで、細かい修正はあっても大きな修正が出ない・開発を進めていく際に、使用感を確かめ、都度アイディアを出しながら最終的な完成を迎えるため、システムの質を高めることができる
デメリット
・修正が入る度に開発に携わる人たちのスケジュールを何度も調整し、集め、試作品を検証すると作業効率が悪くなってしまう・依頼者側のフィードバックをもらわなければ、開発のステップを勧めることができないため、その度に完成に近い試作品を作り上げなければいけない
上記のメリット、デメリットから、アジャイル開発と同じようなプロジェクトかつ、使用感を確認しながら開発するプロジェクトに向いています。
例:ゲーム開発、ロボット開発、新しい製品やサービスの開発
4. スパイラル型開発

続いてスパイラル型開発です。
スパイラル型開発とは対象のシステムを機能ごとに分割して、重要な機能から構築している開発手法です。
開発工程で機能ごとに、「要件定義」、「設計」、「開発」、「テスト」、「レビュー」を複数回繰り返し、改善しながら完成を目指していきます。
似た開発手法にアジャイル開発がありますが、スパイラル開発では一度機能を作成した際にクライアントからもレビューを受けます。
一方アジャイル開発では、チーム内でレビューを繰り返していきます。
メリット
・機能ごとに、重要で優先度の高いものから設計・開発・テストを短いサイクルで繰り返すため仕様やスケジュールの変更に対応しやすい・短期間での開発工程を繰り返しているため、クライアントのイメージに沿う形で高品質のプロダクトを作成できる
デメリット
・機能を分割して開発するため、プロジェクトの全体像がわかりにくく、最終的に必要な開発期間やコストの算定が難しくなる・機能ごとに評価と改善を繰り返すため、仕様変更が多くなると開発作業量が増えその後のスケジュールに影響する
上記のメリット、デメリットから、ある程度時間はかかっても品質をできるだけ担保したい大規模なシステム開発の場合に向いています。
例:NASAのソフトウェア
5. DevOps(デブオプス)

続いてDevOps(デブオプス)です。
DevOps(デブオプス)とは、Development(開発)とOperation(運用)を組み合わせてできた言葉であり、開発担当者と運用担当者が協力してスムーズに開発、運用をすすめ、システムの価値を継続的に向上させるための概念です。
開発者はコードを素早く完成させ、システムをスピーディーにデプロイしたい一方、運用者はテストに十分時間をとってからデプロイしたいため、常に対立する問題が起きていました。
DevOpsを採用することで両者の対立を解消し、システムのリリースサイクルが飛躍的に改善されます。
メリット
・開発担当者と運用担当者の連携が取れる仕組みがあったり、あらゆる作業の自動化やユーザーのフィードバックを反映させやすくなることで開発スピードが劇的に向上する・短期間で開発を繰り返すことで、バグや不具合を発見しやすくなり、システムの安定稼働を維持することができる
デメリット
・開発と運用の連携が乱れるとシステム開発の進捗や品質に影響がある・自動化されたツールやプロセスが多数導入されるため、システム全体の複雑さが増す場合がある
上記のメリット、デメリットから、様々な開発手法と組み合わせる概念としての使用が多く、その時々で必要な開発手法と組み合わすことができる手法になります。
6. リーン開発

続いてリーン開発です。
リーン開発とは、プロセスから無駄を取り省いて、必要最小限の資源で最大限の利益を上げることを目的とした開発手法で、顧客の声を聴いて何度も改善を重ねる、リーンの考え方を用いた開発手法です。
「構築→計測→学習」という3段階のサイクルをできる限り短い時間で回します。
メリット
・開発における費用や時間、人件費を最小限に抑えられ市場において先行利益を得て、競合他社より優位に立つことが可能・アップデートのたびにフィードバックを得られるため、品質の問題を早期に発見し、改善することができる
デメリット
・MVPの構築・計測・学習のサイクルが何度も繰り返されるため、1回あたりの開発コストが高い製品やサービスには向いていない・組織全体の連携やコミュニケーションが不足していると当初の目的とずれていくことがある
上記のメリット、デメリットから企業を急成長させるためにあまり大きすぎないシステム開発を行う際に向いています。
例:Dropbox
7. まとめ
今回は開発で使われている様々な開発手法を紹介しました。
開発手法は時代やシステムの内容に合わせて効率の良い方法が選択されています。
未経験の方は初めてプロジェクトに参画される方もいると思います。その際に役に立ってもらえたら嬉しいです。
今回は手法のみの紹介になりましたが、MVCモデルという設計モデルもありますので時間があれば調べてみてはいかがでしょうか。