Salesforce開発に欠かせないApexの役割と学習方法を解説

公開日: 2024/10/2

Salesforceは、世界最大のクラウド型のCRM(顧客管理)システムであり、様々な業務やビジネスに対応したアプリケーションを提供しています。

Salesforceのアプリケーションは、カスタマイズや拡張が可能で、自分のニーズに合わせて機能やデザインを変更することができます。

そこで活躍するのがSalesforce専用のプログラミング言語である「Apex」です。


この記事では、Apexの役割や開発環境、Apexの学習方法について解説しますので、これまでSalesforceの標準機能を使うだけで、100%活用できていなかったエンジニアの方は是非最後まで読み進めてください。

1. Apexとは


Apexとは、Salesforceのデータベースやインターフェースにアクセスできるオブジェクト指向のプログラミング言語で、Javaに似た文法を持っています。

Salesforceの機能を拡張したり、Salesforceのデータベースにアクセスしたり、標準機能には無い独自のロジックや処理を実装することができます。

1-1. Apexの特徴

Apexは、以下のような特徴を持っています。

1.クラウド上で動作する

ApexはSalesforceのサーバー上で実行されるため、開発者は環境構築やデプロイの手間を省くことができます。

また、Salesforceのアップデートも自動的に行われます。

2.オブジェクト指向である

Apexはクラスやインターフェース、継承や多態性などのオブジェクト指向の概念をサポートしています。

これにより、再利用性や保守性の高いコードを書くことができます。

3.トリガーやバッチ処理機能がある

ApexはSalesforceのデータベースに対する操作に応じて自動的に実行されるトリガーという機能を持っています。

トリガーを使えば、データの整合性を保ったり、他のシステムと連携したりできます。

また、Apexは定期的に大量のデータを処理するバッチ処理や、非同期で実行されるキューアブルジョブなどの機能も提供しています。

4.テストコードの作成が必須である

Apexは品質の高いコードを保証するために、テストコードの作成を必須としています。

テストコードは、Apexのコードを実行して、期待される結果が得られるかどうかを検証するものです。

テストコードの網羅率は、75%以上でなければ、本番環境にデプロイできません。

1-2. Apexの開発環境

Apexの開発環境には、以下のようなものがあります。

1.開発者コンソール

開発者コンソールとはSalesforceが提供している、SalesforceのWebブラウザ上で動作する開発ツールで、Apexのコードを作成・編集・実行・テスト・デバッグができます。

ブラウザからアクセスできるため、Apexの開発を始めるには、最も簡単で手軽な開発環境です。

2.Salesforce Extensions for Visual Studio Code

Microsoftが提供しているVisual Studio CodeというエディタにSalesforceの拡張機能を追加することで、Apexの開発ができるようになります。

Visual Studio Codeは、多くのプログラミング言語に対応した高機能なエディタで、Apex以外のプログラミング開発にも活用されており、コード補完やリファクタリングなどの豊富な開発サポート機能を備えています。

3.Salesforce CLI

Salesforceのコマンドラインインターフェースで、Apexのコードを作成・編集・実行・テスト・デバッグ・デプロイなどの操作をコマンドラインで行うことができるツールです。

2. Apexで何が出来るか


Apexでできることは、以下のようなものがあります。

1.ビジネスロジックの実装

Salesforceの標準機能では実現できないようなビジネスロジックを実装できます。

例えば、データのバリデーションや計算、承認プロセスのカスタマイズ、メールの送受信、PDFの生成などができます。

2.ウェブサービスの呼び出しや提供

Salesforceと他のシステムとの間でデータのやり取りをするために、ウェブサービスを呼び出したり提供したりできます。

ウェブサービスとは、インターネット上でデータをやり取りするための標準的な仕組みで、SOAPやRESTというプロトコルを使って通信します。

Apexは、これらのプロトコルに対応しており、簡単にウェブサービスを利用できます。

3.Lightningコンポーネントの作成

Salesforceのユーザーインターフェースをカスタマイズするために、Lightningコンポーネントというものを作成できます。

Lightningコンポーネントとは、再利用可能なUI部品で、HTMLやCSSやJavaScriptといったWeb技術で作られています。

Apexは、Lightningコンポーネントの裏側で動作し、データの取得や操作などの処理を行います。

3. Apexの学習方法


Apexの学習方法には、以下のようなものがあります。

1.Apex開発者ガイドを読む

Salesforceの公式ドキュメントとして提供している、Apex開発者ガイドは、Apexの概要や文法、標準ライブラリ、ベストプラクティスなどを詳しく説明しています。

Apexの基礎から応用までを網羅しており、用語や機能が学べる開発者の必携の資料です。

2.サンプルプログラムを書きながら勉強する

Apex開発者ガイドを始めインターネット上には、多くのサンプルコードやサンプルプログラムが掲載されています。

これらのサンプルプログラムを参考に、自分でプログラムを書いてみることで、Apexの文法や機能を実践的に学ぶことができます。

3.Trailheadを活用する

Trailheadとは、Salesforceのオンライン学習プラットフォームで、Apexを含むSalesforceの各種技術に関するモジュールやプロジェクトが用意されています。

Trailheadは、無料で利用できるので、気軽に始めることができます。

4.Developer Editionを活用する

Salesforceは一番安くて30,000円と学習目的での個人導入には高額ですが、Developer EditionというSalesforceの開発者向けの開発環境は無償で提供されています。

Developer Editionでは、Apexのコードを作成・編集・実行・テスト・デバッグしたり、無料の学習プラットフォーム「Trailhead」のハンズオン環境としても利用可能です。

4. まとめ


Apexは、その強力な機能と柔軟性により、ビジネスのニーズに合わせたカスタマイズを可能にします。

そのため、Salesforceを最大限に活用するためには、Apexの理解とスキルが不可欠です。


しかし、Apexの学習は決して難しいものではありません。

公式の開発者ガイド、サンプルプログラム、Trailhead、そしてDeveloper Editionといったリソースを活用すれば、プログラミング初心者でも十分に理解することができます。

最後に、Salesforceの機能やサービスは常にアップデートされ続けており、新しい機能や改善が頻繁にリリースされるため、最新の情報をキャッチアップし続けることが大切です。