【初心者向け】Packet Tracerでネットワークを学ぶ(ルーティング①)

公開日: 2023/1/16 更新日: 2023/1/16
ルータとはルーティングを行う機器です。

ルーティングとはデータの転送を行う際にルーティングテーブルを参照して経路を判断し転送することです。

1. ルーティングテーブルの確認方法

ルーティングテーブルには「どのようにルートを登録したか」や、「宛先となるネットワークがどこか」等の情報が登録されています。

ルーティングテーブルは以下のコマンドを特権EXECモードで実行することで確認できます。

#show ip route

実際に簡単な環境を構築しルーティングテーブルを確認してみます。


1.環境準備

・用意するもの

①PC(1台目)

【設定】
 PC名・・・PC1
 IPアドレス・・・192.168.1.10
 サブネットマスク・・・255.255.255.0
 デフォルトゲートウェイ・・・192.168.1.1

②PC(2台目)

【設定】
 PC名・・・PC2
 IPアドレス・・・192.168.2.10
 サブネットマスク・・・255.255.255.0
 デフォルトゲートウェイ・・・192.168.2.1

③ルータ

【設定】
 ルータ名・・・R1

 [Fa0/1側]
IPアドレス・・・192.168.1.1
  サブネットマスク・・・255.255.255.0

 [Fa0/0側]
IPアドレス・・・192.168.2.1
  サブネットマスク・・・255.255.255.0


・ネットワーク構成図

以下の図のように接続します。


・PCやルータの設定

①PC1、PC2に【設定】に記載した設定を行う
②ルータのインターフェース2つに【設定】に記載した設定を行う
③インターフェースの有効化(no shutdown)
④PC1、PC2で通信できるかpingコマンドで確認する。
以上を行って通信を確立させてください。


2.ルーティングテーブルの確認

実際に特権EXECモードにて「show ip route」コマンドを入力してみます。

すると以下のように表示されます。


①ルートを登録したコードの説明

 ②にはどのようにルートが登録されたかをコードとして表しています。

 そのコードの説明が全てここで表記されています。

 今回の環境では「C」と「L」の2種類がありますがそれぞれ「connected(直接接続)」、「local  (ローカルルート)」であることが分かります。


②ルートを登録したコード

 ルートを登録したコードが表記されています。

 ここを確認することでどのような方法でルートが登録されたかが分かります。


③宛先ネットワークとサブネットマスク

 ルートの接続先のネットワークとサブネットマスクが表記されています。


④ネクストホップのIPアドレス

 「is directly connected」となっていますが直接接続やローカルルートの場合はこの表記になります。

 他の隣接ルータにデータを転送するルーティングの場合は、ここに隣接ルータのIPアドレスが表記さ  れます。


⑤データを転送する自身のインターフェース

 自身のどのインターフェースからデータを転送しているかが分かります。

以下の行を例にしてみます。


②直接接続

③192.168.1.0/24宛 (PC1、ルータFa0/1が所属するネットワークです)

④「is directly connected」なので直接接続されていることを表します

2. 直接接続

直接接続されているルートがルーティングテーブルに登録されるには以下の条件が必要となります。

 ・インターフェースにIPアドレスが設定されている

 ・インターフェースが有効になっている


Fa0/1のインターフェースを無効化(shutdown)した場合のルーティングテーブルは以下のようになります。

インターフェースが無効化されているので192.168.1.0宛の経路情報が消えています。


3. ローカルルート

ローカルルートは自身のインターフェースに設定されているIPアドレスになります。

ルータの機種によってはローカルルートは表示されない場合もあります。

以下の行を例にするとFa0/0には192.168.2.1が設定されていることが分かります。


4. スタティックルーティング

スタティックルーティングとは手動でルーティングを設定することです。

まずスタティックルーティングの説明の前に以下の環境を用意します。


PCの間にルータが2台ある構成です。

IPアドレスの設定やインターフェースの有効化はすでに完了しているものとします。

この状態でPC1からPC2(192.168.2.10)へPingを行ってみると以下の様に失敗します。


メッセージに「Reply from 192.168.1.1: Destination host unreachable.」と表示されています。

これはR1(192.168.1.1)までは到達しているが、その先のネットワークが見つからなかったことを示します。

R1にてルーティングテーブルを確認してみます。


ルーティングテーブルを確認すると192.168.2.0のネットワークへの宛先がありません。

そのため、ルータはデータを転送できないので破棄します。

そしてPC1にデータ到達失敗を通知するのです。


直接接続ではIPアドレスとインターフェースの有効化さえ行えば自動でルーティングテーブルに登録してくれますが、PCB(192.168.2.10)と通信するにはルーティングテーブルに経路を登録する必要があります。

その登録方法がスタティックルーティングとダイナミックルーティングです。


スタティックルーティング登録方法

スタティックルーティングで経路を登録するにはグローバルコンフィギュレーションモードにて以下のコマンドを入力します。

#ip route <宛先ネットワーク> <サブネットマスク> <ネクストホップ | 出力インターフェース> [<アドミニストレーティブディスタンス値>]


<宛先ネットワーク>には宛先のIPアドレスを入力します。

<サブネットマスク>には宛先のサブネットマスクを入力します。

<ネクストホップ | 出力インターフェース>にはネクストホップの場合は隣接ルータのIPアドレス、出力インターフェースには隣接ルータに繋がっている自身のインターフェースを入力します。

<アドミニストレーティブディスタンス値>は省略可能です。アドミニストレーティブディスタンス値はAD値ともいいます。

0から255までの値を入力できます。複数経路がある場合はAD値の低い方を優先経路として選択します。省略すると1が設定されます。


先程の環境でスタティックルーティングを登録してみましょう。


まずはR1ルータで以下のコマンドを入力します。


<宛先ネットワーク>として「192.168.2.0」、<サブネットマスク>は「255.255.255.0」、

<ネクストホップ | 出力インターフェース>では今回はネクストホップである「192.168.100.2」を指定しています。


設定後、ルーティングテーブルを確認してみます。


「S 192.168.2.0/24 [1/0] via 192.168.100.2」が追加されていることが確認できます。

これで192.1