DX化を加速させるローコード開発とは?

公開日: 2022/7/15
昨今、様々な外的要因により企業をとりまくビジネス環境の変化が大きく加速しています。

これまでと比べて、より柔軟に、よりスピード感を持った迅速な対応が求められる時代になってきているのではないでしょうか。

そんな中、企業のあらゆるニーズに応え、ITをビジネスの成果に直結させる手段としてここ数年で「ローコード開発」というシステム開発の手法が注目されています。

今回の記事では、ローコード開発とはどのようなものなのか、従来の開発手法との違いやメリット・デメリットなどと併せて紹介していこうと思います。

1. ローコード開発とは?


ローコード開発とは、既存のシステム騎亜初とは大きく異なる、可能なかぎりソースコードを書かずに、最低限のソースコードのみでアプリケーションを迅速に開発する手法やその支援ツールのことです。

GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)と呼ばれる画面上の視覚的な操作のみで、デザイン部分やロジック部品を組み合わせ、工程を省略します。

従来のシステム開発と比較しても短い開発期間なうえに、低コスト・高品質かつ安定したシステム開発を行うことが可能です。

画面上から必要な部品を組み合わせて、ひとつのアプリケーションをつくり上げていく昨今注目の手法です。

2. ローコード開発が注目される理由とは?


そんなローコード開発ですが、なぜローコード開発がここまで注目されているのでしょうか?

それは、世界的パンデミックの影響もあり、かつてないほど先行きの見えない、変化の激しい時代に突入している現代では、業種を問わずDX(デジタルトランスフォーメーション)の実行が求められるようになっています。

どの業界、どの分野においても、急速に変化するビジネス要件に対して、迅速かつ柔軟に対応する必要が生じています。

こうした風潮は、アプリケーションの開発手法に対しても例外ではなく、開発速度や品質、安定性など、あらゆる側面において変革が求められていることが、ローコード開発の需要を爆発させた要因ではないでしょうか。

3. DXとは?

ローコード開発がDXの推進において注目されていることを紹介しましたが、そもそもDX化とは何なのか?本章では、DX化について触れていこうと思います。

そもそもDXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称で、2004年に、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。

日本でのDXは、2018年に経済産業省によって再定義されており、DX推進ガイドラインには以下のように記されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。

つまり、ITを活用してビジネスにかかわるすべてをより良くし、企業文化を変えてまでも取り組むべき覚悟が必要であることを示しています。

2018年に経済産業省が発表したDXレポートでは、DXへの取り組みの重要性に言及し、「2025年の崖」について警告しています。

2025年の壁とは、老朽化した既存の基幹システムの問題点を指摘し、2025年までにシステムの刷新を行わなければ、それ以降、年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性があると説明されています。

政府が公にこれらの情報を公開しているという事は、企業のDXへの対応は、デジタル競争のなかで企業が存続し発展していくうえで、必ず取り組まなければならない課題の1つであります。


ローコード開発はDXの推進に役立つ技術

DXへの取り組みとして、既存のシステムをローコード開発ツールで再構築することで得られるメリットは多く、「2025年の崖」を回避することにもつながります。

具体的には、以下が挙げられます。

・既存システムの刷新により、開発が容易になり、市場の変化に応じてビジネスモデルを柔軟

・迅速に適応させることができる

・ローコード開発ツールが新技術に対応することで、DXを推進しやすくなる

・システムの保守・管理が容易になり、コスト削減できる

・予算や財源が確保でき、サービスの向上や新規事業を展開できる


既存システムでの実現が難しかったことを実現し、本格的なDXが可能になることから、ローコード開発はDX推進と合わせて注目されているのです。

4. ローコード開発のメリットとデメリット


4-1. ローコード開発のメリット

◆生産性の向上

先述した通り、ローコード開発には開発にかかる時間を短縮し、開発コストを削減するという大きなメリットがあります。

システム開発にある、長期的な開発というイメージを払拭するとともに、プログラマーの工数を減少させ、開発にかかる人件費を削減できます。

こうしたメリットを活かすことで、生産性を大きく向上させられるのがローコード開発のメリットの1つです。


◆属人性が低い

本来、システム開発を行うためには、高い技術力を持ったエンジニアが必要です。

しかし、ローコード開発では、ツールの機能を利用するため、属人性が低いと考えられています。

従来のシステム開発では重要な、データベースの構築、HTMLの記述などを習得しなくてもシステム開発を行えるのも大きなメリットであります。

4-2. ローコード開発のデメリットとは?

◆ツールごとに制約が決まっている

従来の開発手法では、オーダーメイド形式で開発するため、顧客の細かい要望にも柔軟に対応することができました。

しかしローコード開発の場合は、開発ツールが提供する要件のみを使って実装するシステムであるため、開発者が独自で用意したパーツのデザインや機能を拡張・変更することができないことがあります。

システムに対して強い要望やこだわりを持っている場合や、細かい仕様の実装が必要となる場合は、その要望に沿うことは難しく、イメージとは異なるシステムとなってしまう場合があります。

このようにローコードツールごとの制約が存在していることが、大きなデメリットの一つです。


◆ツールの知識が必要

ローコード開発は技術的ハードルが低く、新しい言語を習得するより、比較的早くエンジニアの育成が可能です。

しかし、ローコード開発の特性を生かし、品質の高いシステムを構築するには利用するローコードツールの習熟が必要です。

5. まとめ


今回は新しいIT技術である、ローコード開発について解説していきました。

ローコード開発は、まだそこまで世の中に浸透していませんが、今後数年以内にシステム開発の全体像が大きく入れ替わるほどのパワーを秘めていると感じています。

属人性が低いからこそ、多くの方に触ってみてほしいと思いますし、これまでITとは無縁の仕事に従事されていた方でもシステム開発を容易に行うことが出来るので、既存のエンジニアはより、技術以外の部分で勝負していかなければいけない時代が来るかもしれません。

例えば、システム開発を行える事務職、システム開発を行える営業職、システム開発を行えるマーケティング職、習得すれば既存のビジネスを拡大するうえで、より強力な人材へと成長することが可能です。

時代が追いつく前に、コミュニケーション能力であったり、マネジメント能力などの別のスキルを蓄積しておくことも視野に入れておきましょう。