【初心者用】CakePHPを学んでいこう④(bake機能)

公開日: 2023/2/24 更新日: 2023/2/24
前回はモデルの作成と、簡単なデータ更新の処理について紹介しました。

今回はCakePHP特有の、bake機能についてご紹介します

1. 環境

OS:Windows11

XAMPP:8.0.25 (PHP8.0.25)

Composer:2.5.1

CakePHP:4.4

2. bakeの基本コマンド

まずはbakeの基本的なコマンドを紹介します。

【初心者用】CakePHPについて学んでいこう①(基礎知識)でもご紹介しましたが、bake機能は指定したテーブルのMVCを自動生成してくれる機能です。

前回まではモデル・ビュー・コントローラーを1から作成して画面作成を行いましたが、これらの作業をコマンド一つで作成してくれます。

2-1. 1.テーブルを確認するコマンド

bakeする前に、どのテーブルが作成可能かを確認するコマンドです。

・bin\cake bake controller ・・・ コントローラーで確認したいとき

・bin\cake bake template ・・・ ビューで確認したいとき

・bin\cake bake model ・・・ モデルで確認したいとき

このコマンドを実行すると、現在のテーブルが表示されます。


2-2. 2.コントローラーを作成するコマンド

bin\cake bake controller 〇〇(テーブル名)

2-3. 3.ビューを作成するコマンド

bin\cake bake template 〇〇(テーブル名)

2-4. 4.モデルを作成するコマンド

bin\cake bake model 〇〇(テーブル名)

2-5. 5.MVCを一括で作成するコマンド

bin\cake bake all 〇〇(テーブル名)

2-6. 6.困ったときは

他にどんなコマンドが用意されているかは、「--help」のオプションを使用することで確認できます。

何か困ったことがあれば「--help」オプションを活用してみましょう。

・bin\cake --help ・・・ コマンド一覧が表示されます。

・bin\cake bake controller --help ・・・ コントローラー作成時のオプション。

・bin\cake bake template --help ・・・ ビュー作成時のオプション。

・bin\cake bake model --help ・・・ モデル作成時のオプション。

など…

3. テーブル準備

それでは実際にbakeコマンドを実行していくために、テーブルを作成します。

お問い合わせフォームを作成したいので、「forms」というテーブルを用意します。

CREATE TABLE `test`.`forms` ( 
    `id` INT (10) NOT NULL AUTO_INCREMENT COMMENT 'ID'
    , `name` VARCHAR (255) NOT NULL COMMENT '名前'
    , `mail` VARCHAR (255) NOT NULL COMMENT 'メールアドレス'
    , `contents` VARCHAR (255) NOT NULL COMMENT 'お問い合わせ内容'
    , PRIMARY KEY (`id`)
) ENGINE = InnoDB COMMENT = 'お問い合わせ';

4. bakeを実行

それでは実際にコマンドを実行してみましょう。

まずは、作成した「forms」テーブルが指定できるか確認してみます。

bin\cake bake controller

bin\cake bake template

bin\cake bake model


「Forms」があることが確認できました。

コマンドプロンプトを開き、以下のディレクトリまで移動します。

C/xampp/htdocs/cake_pjt

今回は初bakeなので、allではなく一つずつ実行してみましょう。

4-1. 1.コントローラーの作成

以下のコマンドを実行します。

bin\cake bake controller Forms

MVCそれぞれの実行時で共通ですが、テーブル名の先頭は大文字で記載します。


4-2. 2.ビューの作成

以下のコマンドを実行します。

bin\cake bake template Forms


4-3. 3.モデルの作成

以下のコマンドを実行します。

bin\cake bake model Forms


無事焼きあがりました!

4-4. 4.画面の確認

では作成された画面を確認してみましょう。以下のURLにアクセスします。

http://localhost/cake_pjt/forms


無事作成されています。

先ほどのビュー作成実行時に表示されていましたが、このindexページ以外にも

・add(追加画面)
・view(詳細画面)
・edit(編集画面)
・delete(削除)

の機能が既に用意されています。とても便利ですね。


実際にデータを登録してみましょう。

画面右上の「NEW FORM」のボタンをクリックすると、追加画面へ遷移します。

http://localhost/cake_pjt/forms/add


フォームに値を入力して登録してみましょう。

index画面に戻り、値が保存されています。


このように、bake機能を使用するだけで簡単に画面のひな形が作成でき、効率よく開発することができます。

5. お問い合わせフォームを作ろう

それでは、bakeで作成したソースを基にお問い合わせフォームを作成します。

完成イメージとしては

http://localhost/cake_pjt/forms にアクセスしたとき、お問い合わせフォームの入力画面が表示されている。

 ・名前・・・input(必須)
 ・性別・・・rsdio
 ・都道府県・・・select(必須)
 ・携帯番号・・・input
 ・メールアドレス・・・input(必須)
 ・お問い合わせ内容・・・textarea(必須)

②「送信」ボタンを押すと、送信しました画面へ遷移する。

③お問い合わせ内容が登録される。

上記の内容を実装していきます。

5-1. 1.不要な画面や処理を削除する

今回は上記の通り、お問い合わせ内容を入力・確認画面だけを作成したいので、bake機能で自動的に作成された一覧画面や詳細画面・編集画面の機能は削除・修正します。

コントローラーを修正します。

..cake_pjt/src/Controller/FormsController.php

「index」「view」「edit」「delete」メソッドを削除します。

そして「add」メソッドを「index」に書き換えましょう。


コントローラーの修正が出来たら、ビュー側も「index」「view」「edit」の不要なファイルを削除します。そしてこちらも「add.php」を「index.php」に修正しましょう。

http://localhost/cake_pjt/forms へアクセスすると、お問い合わせ入力フォームの画面が表示されます。

画面の表示内容や文字はお好きに変更してください。


5-2. 2.カラムを追加する

必要なカラムを追加していきます。

以下4つのカラムを追加します。

・性別
・都道府県
・携帯番号

ALTER TABLE `test`.`forms` ADD `gender` INT (2) NULL DEFAULT NULL COMMENT '性別' AFTER `contents`
, ADD `prefecture` INT (2) NULL DEFAULT NULL COMMENT '都道府県' AFTER `gender`
, ADD `mobile` VARCHAR (11) NULL DEFAULT NULL COMMENT '携帯番号' AFTER `prefecture`;

性別・都道府県・理由は番号で管理します。また、携帯番号はハイフンなしを想定しています。


カラムを追加したら、ソース修正が必要な箇所があります。

..cake_pjt/src/Model/Entity/Form.php

上記ファイルは、bakeした際に自動生成されたEntityファイルです。

bakeすると「$_accessible」というメンバ変数がありますが、これはカラムにアクセス制限をかけるものです。

ここに記載のないカラムは「newEntity()」して保存する際に無視されて登録されないため、カラムを追加した際は注意しましょう。

今回はIDをfalseにして、その他はtrueとしました。

protected $_accessible = [
        'id' => false,
        '*' => true,
];

カラムを追加したら、画面上にも入力欄を追加しましょう。

5-3. 3.画面に入力欄を追加する

先ほど追加した項目を画面上に表示していきます。


テンプレート側のソースは以下になります。

Form->create($form) ?>
Form->control('name',[ label' => '名前', required' => true, ]); echo $this->Form->control('gender', [ type' => 'radio', label' => '性別', required' => true, options' => $gender_list, default' => 1, ]); echo $this->Form->control('prefecture', [ type' => 'select', label' => '都道府県', required' => true, options' => $pref_list, multiple' => false, empty' => '選択してください' ]); echo $this->Form->control('mobile',[ label' => '携帯番号', required' => false, ]); echo $this->Form->control('mail',[ label' => 'メールアドレス', required' => true, ]); echo $this->Form->control('contents',[ type' => 'textarea', label' => 'お問い合わせ内容', required' => true, ]); ?>
Form->button(__('送信')) ?> Form->end() ?>

Formヘルパーを使用して入力欄を生成しました。

Formヘルパーのルールとして、フォームの開始に「create」メソッド、フォームの終わりに「end」メソッドを記載する必要があります。


フォームの作成は「control」メソッドを使用します。

基本的には「echo $this->Form->control(‘テキスト’);」の形で入力フォームを表示できますが、フォーム名を変更したり、フォームタイプを変更したい(セレクトボックスやラジオボタンなど)場合は、第二引数に配列形式でオプションを指定します。

今回は性別・都道府県はオプションを指定しているので、ご参考ください。


コントローラー側のソースは以下の通りです。

 /**
* index method
*
*/
public function index()
{
$form = $this->Forms->newEmptyEntity();
// 性別選択肢
$gender_list = [
1 => '男性',
2 => '女性',
3 => 'その他'
];
// 都道府県選択肢
$pref_list = [
1 => "北海道",
2 => "青森県",
3 => "岩手県",
4 => "宮城県",
5 => "秋田県",
6 => "山形県",
7 => "福島県",
8 => "茨城県",
9 => "栃木県",
10 => "群馬県",
11 => "埼玉県",

5-4. 4.送信完了画面を作成する

「送信」ボタンを押した後、送信完了画面へ遷移するようにします。

コントローラーで「confirm」メソッドを用意しましょう。

画面を表示するだけなので、処理は不要です。

ビュー側のテンプレートも用意しましょう。

..cake_pjt/src/templates/confirm.php

送信しました。

Html->link('お問い合わせフォームに戻る', '/forms'); ?>

お問い合わせ送信後、送信完了画面へ遷移します。

http://localhost/cake_pjt/forms


http://localhost/cake_pjt/forms/confirm


データベースにも無事保存されました。


6. まとめ

今回はbake機能を使ってお問い合わせフォームを作成しました。

コマンドを実行するだけで、基本的な処理を自動生成してくれるのは本当に便利な機能です。

今回テーブルは自分でSQLを作成して実行しましたが、bake機能に「マイグレーション」というテーブルを自動で作成してくれる機能もあるようなので、改めてご紹介できればと思います。

次回は今回のお問い合わせフォームをベースに、バリデーション機能と基本的なメール送信の実装方法について紹介いたします。