C言語とC++の違い

公開日: 2024/12/18

C言語とは、1972年にアメリカで開発、リリースされたコンパイル型のプログラミング言語です。

コンパイルとは、プログラマーが作成したソースコードを機械が読み取れる言葉に変換することを指します。


C言語は50年以上の歴史があり汎用性も高いため、現在世界中で使用されています。

B言語の後継版であることから、C言語と命名されました。

1. C言語でできること


C言語を使ってできることは、「ロボットや組み込みの開発」「OSやソフトウェア、アプリの開発」の2つに大別されます。

ロボットや組み込みの開発では、家電製品や産業機械、IoT機器などの組み込みソフトにC言語が使われています。

家電製品や産業機械、IoT機器などはハードウェアで制御するため、コンパイル型で汎用性の高いC言語が適しているからです。


OSやソフトウェア、アプリの開発では、パソコンを動作させるOSの開発に使われています。

メモリやCPUなどのパソコンの中核を担うシステムであるため、C言語を習得するとハードウェアに詳しくなるでしょう。

2. C言語の特徴


昔から使われているC言語は、現在でも汎用性の高いプログラミング言語として活用されています。

人気もあるため、今後の需要も見込めそうです。

ここからは、C言語の特徴を2つ紹介します。

1.処理速度が速い

コンパイルして利用するプログラミング言語は、インタプリタ方式の言語よりも処理速度が速いのが特徴です。

インタプリタ方式とは、プログラマーが作成したソースコードを、機械が読み取れる言葉に解釈しながら実行する方式です。


C言語の処理速度は、その中でも圧倒的な実行速度を誇ります。

C言語の実行速度が速い理由は、ソースコードを機械が読み取れる言葉に変換する分一つひとつ解釈しながら実行せずに済み、プログラムが軽量になるためです。

2.OSや組み込み系に使われることが多い

C言語はソフトウェア、スマートフォンアプリの開発だけではなく、IoTやAI、家電製品などの組み込み系のソフトウェアにも採用されています。

組み込み系とは、家電製品や産業機器が仕様通りに作動するためのシステムを意味します。


システムの中枢部分の開発にC言語が採用されるのは、プログラムが軽量で処理スピードが速いためです。

3. C++とは


C++(シープラスプラス)とは、1983年に開発、リリースされたプログラミング言語です。

C言語に上位互換性を持たせた言語であるため、C言語に「+1」の意味を持つ「++」をつけた名称でリリースされ、「シープラプラ」や、「シープラ」とも呼ばれています。


C++はC言語を引き継ぎ、新たな機能が追加された言語であるため、C言語と互換性があります。

そのため、C言語と同時に使用したり、C言語で書かれたプログラムをC++に移行したりすることが可能です。

3-1. C++でできること

C++を使ってできることは、「スマホアプリ」「業務システム」「Webアプリケーション」などの開発です。

スマホアプリにはJava(Android)やSwift・Objective-C(iOS)が多く利用されますが、C++Builder(統合開発環境)を使えばC++でも開発可能です。

また、C++はゲームや一部のWebアプリケーションの開発にも用いられています。

3-2. C++の特徴

C++はC言語を基に開発され、C言語と同様に人気の高いプログラミング言語です。

ここからは、C++の特徴を4つ紹介します。

1.C言語と互換性がある

C++の大きな特徴は、C言語の長所や便利な機能を継承し、互換性が保たれるよう設計されている点です。

C言語で実行するものはC++でも実行でき、C言語で作られたシステムは、C++に移行できます。

2.オブジェクト指向である

C++は、オブジェクト指向型のプログラミング言語です。

オブジェクト指向型とは、システム全体を「オブジェクト(モノ)」の集合体として捕え、モノの作成と操作に分けて考える構造を指します。

たとえば、システム全体が「家」であれば、部屋やキッチン、庭などがオブジェクトになります。

オブジェクトを取り入れたC++では機能の追加や改良されているため、C言語よりも開発効率が向上するのがポイントです。

3.言語の難易度が高い

C言語にはメモリやCPUなどのハードウェアの知識が重要になるため、習得難易度は高めです。

すでにC言語を習得した人であっても、C++の習得には時間がかかる傾向にあります。

4.アプリや業務システムに使われることが多い

C++は、家電製品のマイコン用アプリや家庭用ゲーム機、計算プログラムなど幅広い分野で活用しているプログラミング言語です。

特に活用されるのは、官公庁や金融業界で使われるシステムの開発においてです。

高負担で複雑なシステムであっても高速で実行できるため、アプリやゲームの開発にも採用されており、ブラウザやOSなどにもC++が使われています。

4. C言語とC++の違い


C言語の機能にオブジェクト指向を組み込んで拡張させたC++ですが、オブジェクト指向の有無以外にも違いがあります。

1.クラスの有無

クラスとは、プログラムの中でオブジェクトを作る仕組みを指し、クラスから作られたオブジェクトを「インスタンス」と呼びます。

たとえば、クラスが「車」だとすると、インスタンス(オブジェクト)は「スポーツカー」「トラック」「救急車」などです。


C言語には「struct」と呼ばれる機能があり、データ構造の定義をするために使われています。

C++では「struct」を基に新たに「class(クラス)」の機能が追加され、関数の定義を行い構造体と関数を一度に管理できるようになりました。

2.キャストの違い

キャストとは、オブジェクトやデータ型を、別の型に変換することを指します。

キャストの例としては、演算や代入の際に利用したり、double型の変数やlong型の変数を変換したりすることなどが挙げられるでしょう。


C言語とC++ではキャストの実装が異なるため、C言語のキャストを使ったコードがC++のコンパイラでエラー(警告)になる場合があります。

エラーになる原因は、C++の互換性がC言語のキャスト(暗黙的キャスト)を無視するためです。

明示的キャストを使用するとエラーが防げます。

3.言語構造の有無

C言語とC++は、共に習得が難しいといわれるプログラミング言語です。

C言語は機械が理解できる文字に近い言語構造であるため、他のプログラミング言語よりも難しいとされています。


C++は、C言語にオブジェクト指向やジェネリックプログラミングなどが拡張されているため、さらに複雑な言語構造になるのが特徴です。

プログラミング言語を初めて学ぶ人はもちろん、C言語を習得している人でも、C++を習得するには時間がかかる傾向にあります。

4.例外処理の対応

C言語は例外処理ができせんが、C++は可能です。

例外処理とは、プログラムの実行時にエラーが発生した際、エラー発生用の処理をする仕組みを指します。


C言語でエラーが発生した際には、戻り値として特定の数値を設定することでエラーを検出します。

一方、C++は例外処理ができるため、エラー検出に対する強みがあるといえます。

5.オブジェクト指向

C言語とC++の大きな違いの一つは、オブジェクト指向の有無です。

C++は、C言語にオブジェクト指向の機能が拡張されたプログラミング言語です。

C++はC言語のような開発もできるほか、C言語で開発していたものをC++の環境に移行させて利用することもできます。

6.ジェネリックプログラミング

C言語ではデータを入れる変数を使う際、double型やlong型などの型を決定します。

C++では、ジェネリックプログラミング(template)といわれる技術の使用が可能です。

ジェネリックプログラミングは、具体的なデータ型に依存せず、汎用的なコーディングでデータを処理できる技術です。

5. まとめ

C言語はコンパイル型のプログラミング言語で、家電製品や産業機械、IoT機器などの組込ソフトウェアや、OSの開発に使われています。

C++は、C言語にオブジェクト指向を組み込んだ拡張版であり、C言語とC++には互換性があります。


開発するモノにより、C言語を選ぶか、C++を選ぶかで、変わってくるので、開発するモノに合った選択をするようにしましょう。