【初心者】Python
Pythonは、コードの記述が短くシンプルな言語で、初心者でも比較的容易に利用できます。
一方で豊富な機能も備わっているため、科学技術分野をはじめ、幅広い分野で重宝されています。
1. Pythonとは
Pythonの主な特徴は、人が書いたプログラムを機械語に翻訳して実行する「インタプリタ言語」であることです。
CやJavaなどの言語の場合、人が書いたプログラムを機械が認識できる形式に変換する「コンパイル」という作業を行わなければなりません。
一方、インタプリタ言語であるPythonの場合は、コンピューターがプログラムを読み込みながら即座に実行するため、コンパイルが不要です。
変換作業とプログラム実行を同時に行うため、実行速度は遅くなりますが、動作確認をしながらプログラムを書けるため、エラーなどを即座に発見できます。
また、Pythonにはプログラムの開発で利用できるコードや機能を提供する、ライブラリやフレームワークが豊富に用意されています。
ライブラリはプログラムに組み込めるコードの集まり、フレームワークはプログラムに必要な機能や構造を提供するソフトウェアのことです。
Pythonでは特に科学技術分野向けのライブラリが多く提供されており、難解な計算処理を簡単に実行できます。
具体的な用途として、Pythonは人工知能(AI)の開発に適しており、データの収集やデータ分析などにも強いプログラミング言語です。
加えて、Pythonは誰でもソースコードの修正や拡張、再配布ができるオープンソースの言語であるため、多くのボランティアが開発に携わっています。
2. Pythonの活用
2-1. データ分析
通信機能やセンサを持つ電子機器は増えつつあり、それに伴って多くのデータも生まれています。
たとえば、スマートフォンは内部に装着されたセンサで周辺環境の情報を収集し、インターネットに接続して頻繁に通信データの送受信を行います。
高頻度かつ大量に生成されるデータの分析は、私たちの生活に役立つ取り組みに欠かせません。
スマートフォンのデータから人々の動きを可視化し、災害時の人の流れを予測する研究事例もその一例で、研究現場でもデータ分析やデータの可視化、データを活用した機械学習などでPythonが活用されています。
データを活用できるのは研究者に限りません。
近年では、人工衛星の気象データや家計に関する調査データなどの行政が収集したデータが一般に公開されるようになり、誰でもデータを活用できる環境が整ってきました。
Pythonが科学技術分野を中心に活用されているのは、データの分析や可視化を得意とする言語であるためです。
専用のライブラリやフレームワークを活用することで、データの抽出や分析、特徴の把握、データ可視化などの作業が容易になります。
Python を活用した代表的な数値計算向けライブラリとしては、「NumPy(ナンパイ/ナムパイ)」が、データの読み込みや分析向けのライブラリとしては「pandas(パンダス/パンダ)」などがあります。
ほかには収集、分析したデータを可視化するライブラリとして「Matplotlib(マットプロットリブ)」があります。
2-2. Webアプリケーション
動画共有サービスのYouTubeやGoogleのサービスなど、私たちが日頃使用する多くのWebアプリケーションにもPythonが使用されています。
Pythonには、Webアプリケーション開発に必要な機能を有する「フレームワーク」やライブラリが豊富にあるため、Webアプリ開発でPythonが採用されるケースが多くあるのです。
Python使用者の約23%がWeb開発にPythonを使用しているという調査結果もあり、Webエンジニアの需要が高い言語といえます。
代表的なWebアプリケーションフレームワーク「Django(ジャンゴ)」や「Flask(フラスコ/フラスク)」には、データ処理ロジックや画面に表示される情報の処理などの機能が備わっており、簡単なWebアプリケーションを作成する場合に向いています。
2-3. 事務作業の自動化
研究者や開発者でなくても、Pythonを日常の業務に活用できます。
たとえば、ルーティンワークとなっている作業の手順をPythonのプログラムに落とし込んで自動化することで、業務の効率化を図ることが可能です。
具体的には、ExcelやWordのファイルからデータを抽出したり、データをまとめて新しくファイルを作成したりといった作業を効率化できます。
また、Webブラウザのログイン操作の自動化や、Webサイトの情報を収集・加工する「スクレイピング」も実現できます。
3. Pythoを学習するメリット
3-1. 文法がシンプルで習得しやすい
その理由としては、複雑な操作をひとつの実行文で表現できること、C言語では実行文に括弧が必要な箇所でもPythonでは不要であること、変数や引数の宣言が不要であることが挙げられます。
PythonとC言語のプログラムを比較してみましょう。
新しいプログラミング言語を学習する際は、画面に「Hello, World!」と表示されるプログラムを作ることが慣例ですが、PythonとC言語のプログラム例はそれぞれ以下のようになります。
<Python>
print("Hello, World!")
<C言語>
#include <stdio.h>
int main(void)
{
printf("Hello, World!");
return 0;
}
Pythonでは1行で実現できる内容ですが、C言語を用いるとライブラリの読み込みやmain関数、括弧の記載など記述しなければならない要素が多くなります。
そのため、Pythonの方が初心者でもプログラムの作成や読解が容易に行えるといえる
3-2. 学習者が多く、Web上の情報が多い
プログラミングを学習する際は、わからないことが出てきたときの解決手段を見つけられることが大事です。
職場などに相談できる人がいればよいのですが、独学で解決せざるを得ない方も多いでしょう。
その点Pythonは、プログラミング言語のなかでも人気が高く学習者も多いため、不明点を自分で調べたり解決したりしやすいといえます。
不明点がある場合は、自分が作成したいプログラムに近い内容を検索してみたり、質問サイトで問い合わせをしたりするとよいでしょう。
プログラミング中にエラーメッセージが出てきた場合も、その内容を検索すればほとんどのケースで答えが見つかります。
マイナーな言語はWeb上の情報が少なく、英語の情報しかないことも少なくありませんが、Pythonは学習者や情報が多いため、学習する上でも心強いでしょう。
3-3. 学習方法が豊富
Pythonを学習する際、ある程度プログラミングの経験や知識があれば、Web上の情報や書籍などを参考に学習を進めることも可能です。
プログラミング初心者がつまずきやすい点として環境構築がありますが、WebブラウザからPythonを実行できる「Google Colaboratory(グーグル・コラボレイトリー)」を利用すれば、無料かつ面倒な設定をせずにプログラミングを体験できます。
3-4. 汎用性が高い
Pythonは、Webアプリケーション開発、データ分析、自然言語処理、GUIアプリケーション開発、データベース操作など、多くの分野で利用されています。
前述した多様なライブラリの提供によって幅広い用途への対応が可能です。
またPythonは「オブジェクト指向型」や「手続き型」など、多様なプログラミングのスタイルに対応しているマルチパラダイムなプログラミング言語のため、さまざまな場面で柔軟に扱うことができます。
Pythonを習得することで、データ分析や数値解析の結果をそのままシステムに組み込んで管理することが可能になります。
4. Pythonが苦手なこと
Pythonは非常に汎用性の高い言語ですが、万能というわけではありません。
中には苦手としている分野もあり、他の言語を利用したほうがいい場合もあります。
4-1. Webデザイン
PythonはWebアプリケーションの開発に適していますが、Webデザインには不向きな場合があります。
Pythonは主にバックエンドの処理に使われるため、フロントエンドのデザインやアニメーションなどを行う場合、JavaScriptやCSSなどの技術と組み合わせる必要があります。
4-2. ゲームなどスマホアプリの開発
Pythonは、CPUの処理速度が比較的遅く、メモリ使用量が大きいため、高速処理や高度な3Dグラフィックスを要求される場合、開発には向いていないとされています。
ゲームやスマホアプリ開発では、C++やUnityなどの開発言語がよく使われます。
5. まとめ
Pythonはシンプルな文法や汎用性の高さから初学者が学びやすく、需要も大きいプログラミング言語です。
また、AIや機械学習に関する技術は、ハイスピードで進化を続けています。
そのため、Pythonなど関連領域の知識を身につける重要性はますます高まると予想されます。