【初心者向け】CCNA基礎 5章
こちらでは、CCNAの資格取得へ向けた情報を記載いたします。
1. イーサネットLANでのデータ送受信
イーサネットでは通信する際にネットワーク内の端末を「MACアドレス」でそれぞれ識別します。
「MACアドレス(Media Access Control address)」とは、PCやスマートフォンの様なネットワークに接続されている全ての機器に割り当てられている番号です。
この番号は郵便の宛先の様なものなので仕様として世界中で絶対に重複することがなく、その機器だけの固有番号となっています。
1-1. イーサネットアドレス
イーサネットアドレスとは、先程記載した「MACアドレス」のことで「ネットワークインターフェイスカード(NIC)」に割り当てられている固有の識別子を指します。
これは、別名「物理アドレス」や「ハードウェアアドレス」とも呼ばれており、Windows11では「物理アドレス(MAC)」の欄に記載されています。
このアドレスは、「ハードウェアと接続のプロパティ」にて確認できますので、興味のある方は、是非そちらから確認してみてください。
また、このMACアドレスは48ビット(6バイト)で構成されており12桁の16進数を2桁ごとに、「ハイフン(-)」「コロン(:)」「ドット(.)」のいずれかで区切って表記します。
主に、ハイフンやコロンで区切る場合は2桁ごとで、ドットの場合は4桁ごとに区切って表記されています。
このアドレスの前半24ビット部分は、NICのベンダーを識別する「OUI(Organizationally Unique Identifier)」というIDで、このIDは、IEEEと呼ばれる組織が管理しています。
一方、後半24ビット部分は各ベンダーが独自に割り当てるため、ベンダーないで重複しない様に割り当てる必要があります。
その結果、この2つを合わせることで世界で唯一のMACアドレスが完成する仕組みになっています。
なお、このアドレスはデータリンク層で利用されています。
2. イーサネットフレーム
イーサネットフレームとは、イーサネットの規格に沿って通信をする際に扱うデータを指します。
イーサネットフレームには、IEEE802.3で規定された「IEEE802.3形式」とIntel、Xerox、DECによって開発された「EthernetⅡ形式(DIX)」が存在します。
双方とも構造は似ていて、イーサネットで動作するノードは、全てどちらの方式にも対応しています。
しかし、主にインターネットを支えるTCP/IPでは、後者の方式が利用されているため、今回はこの「EthernetⅡ形式」のイーサネットフレームについて解説していきます。
また、フレームには様々な要素が含まれておりその1つ1つ構成している要素を「フィールド」と言います。
上から順に「プリアンブル」「宛先MACアドレス」「送信元MACアドレス」「タイプ」「データ」「FCS(CRC)」となっていて、「IEEE802.3形式」では「タイプ」の部分が「長さ」というフィールドになっています。
1.プリアンブル
フレームの開始をノードへ認識させるための特殊な信号部分です。
これは、受信時に破棄されるので厳密に言えば、フレームには含まれない部分でもあります。
2.宛先MACアドレス
6バイトで構成されているフィールドで、宛先のノードを識別する番号の部分です。
このフィールドは、L2で付加されるヘッダ部分となります。
3.送信元MACアドレス
6バイトで構成されているフィールドで、送信元のノードを識別する番号の部分です。
このフィールドも、L2で付加されるヘッダ部分となります。
4.タイプ
2バイトで構成されているフィールドで、上位層のプロトコルが何なのかを識別する番号の部分です。
このフィールドも、L2で付加されるヘッダ部分となります。
5.データ
46~1500バイトで構成されている可変長(長さが変わる)のフィールドで、実際に運ばれるデータの内容部分です。
データの内容が1500バイトを超える場合(MTU-1500の場合)は、いくつかに分割し、別フレームで送信します。
MTUとは、一度に送信出来るデータの最大サイズを表すもので、1500バイトが主流となっています。
6.FCS(CRC)
6バイトで構成されているフィールドで、エラーをチェックするための値(CRC値)が格納されている部分です。
このフィールドは、トレーラの部分となります。
3. 半二重送信と全二重通信
イーサネットでは、「半二重通信(half duplex)」か「全二重通信(full duplex)」を行います。
「半二重通信」とはデータの送受信を同時に行わずに、送信側と受信側が交互にデータを送信することで通信を行う方式です。
この方式は、主にリピーターハブや同軸ケーブルでの接続を行う際に利用されます。
一方「全二重通信」は、データの送受信を同時に行うことが可能な方式です。
そのため、全二重通信の方が通信速度や効率が良く、コリジョンが発生することもありません。
一般的には、ツイストペアケーブルが使用されているLAN環境の場合は、その殆どがこの全二重通信を行っています。
4. CSMA/CD方式のアクセス制御
半二重通信の場合、同時にデータを送信してしまうと「コリジョン」という、「データの衝突」が発生してしまいます。
そのため、リピーターハブを使用することで半二重状態にしてコリジョン発生を防ぎます。
また、コリジョンが発生してしまうと、データの送受信ができなくなってしまうので、アクセス制御によって通信を制御する必要があります。
イーサネットでは、そのアクセス制御を行うために「CSMA/CS(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式」を利用しています。
細かく分けると「CS(Carrier Sense)」「MA(Multiple Access)」「CD(Collision Detection)」の3つで構成されており、それぞれ以下の役割を担っています。
CS:データを送信出来るかを確認し、キャリア(伝送中の信号)がない状態が一定時間続くと、データ送信が可能と判断します。
MA:ネットワーク上の全てのホストに送信権利が平等に与えられています。
CD:コリジョンを検出し、ランダムな時間で待機してからデータを再送信(バックオフ)します。
この方式で、端末は通信ルート上にデータが流れていないことを確認してからデータを送信します。
こうすることで、コリジョンが発生していないかを監視しており、コリジョン発生時には「ジャム信号」という、コリジョンが発生したことを伝える信号を送信します。
この信号を受けた端末は、データの送信を中止して、その後ランダムな時間で待機してから、再度データを送信(バックオフ)します。
文字通りこの待機時間はランダムなので、先に待ち時間が終わった端末から順に通信を再開し、他の端末は通信が終わってから通信を再開します。
この動作が16回連続で失敗した場合は、そのフレーム自体を破棄します。
5. まとめ
お疲れ様でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回は以前記載していた内容の更に奥へ踏み込んだような内容だったので、過去の記事もおさらいしながら当記事を読んでいただくと解りやすいかと思います。
次回はイーサネットLAN内の機器についてまとめていきます。