ITインフラの基礎【初心者向】

公開日: 2024/3/18

ネットワークとは、複数のコンピュータを通信回線で接続し、データのやり取りを行えるようにしたもので、正確にはコンピュータネットワークと呼ばれます。

当初は、管理者が特定のコンピュータ同士を接続しただけのもの(=プライベートネットワーク)でしたが、段々とプライベートなネットワーク同士を接続するようになり、世界中のネットワークが接続されたインターネットとなりました。

1. ITインフラ


ITインフラとは、インターネットやLAN、サーバ、OS、データベースITを使うために必要となるインフラのことです。

主にハードウェアとソフトウェアの2種類で構成されています。

1-1. ハードウェア

・サーバ

クライアントからのリクエストを受け、必要なレスポンスを返す機器です。

サーバを構築するだけであればどの様なハードウェアを使用しても問題ありませんが、使用に伴う負荷に見合ったハードウェアを用意する必要があります。

・クライアント(PC)

ITサービスを利用するためにユーザが使用する機器のことです。

・ストレージ(補助記憶装置)

データを保存する機器のことです。

以前はサーバやクライアント内に格納されていましたが、近年は独立した機器であることが一般的です。

ハードディスクやSSD、SDカードなど様々な種類があります。

・ネットワーク機器

ネットワークケーブルやスイッチ、ルータ等サーバやストレージなどを繋ぐ機器です。

・OA機器

プリンタやコピー機等、ITを使用したシステムで利用する機器のことです。

・ファシリティ

設備、施設、建物等のことです。空調設備や電源設備なども含まれます。

1-2. ソフトウェア

・OS(Operation System)

サーバやクライアントを動かすための基本となるソフトウェアのことです。

・ミドルウェア

OSとアプリケーションソフトウェアの中間に入るソフトウェアのことです。

・アプリケーションソフトウェア

実際に利用するサービスを提供するためのソフトウェアのことです。

・ファームウェア

ハードウェアを制御するプログラムのことです。

1-3. ITインフラを支えるエンジニア

ITインフラ全般を支えるエンジニアのことをインフラエンジニアと呼びます。

また、担当する範囲に合わせて以下のような分け方をすることもあります。


 ・システムエンジニア:アプリケーションソフトの開発

 ・サーバエンジニア:サーバやOS、ミドルウェアを管理するエンジニア

 ・ネットワークエンジニア:ネットワークを管理するエンジニア

2. 通信の仕組み


2-1. プロトコル

コンピュータ間で通信を行うときにはプロトコルと呼ばれる決まりを事前に決めておき、それに合わせて相手にデータを送ります。


プロトコルとは、コンピュータとコンピュータがネットワークを利用して通信するための決まりです。

プロトコルを決めておくことで、メーカやCPU、OS等が異なるコンピュータ同士でも同じプロトコルを使用することによって互いに通信することができるようになります。

インターネットの広がりに合わせて、メーカが異なっていても互いに通信できるような互換性が重要であると認識されるようになり、プロトコルの標準化が必要となりました。


現在はTCP/IPというプロトコルが世界中でもっとも広く使用されています。

2-2. プロトコルの階層化

一つのプロトコルに様々な役割を持たせるとプロトコルが複雑になりすぎてしまうため、いくつかの機能に分けて階層化するという考え方が広まりました。

階層の境界をインターフェースと言います。

これにより様々なプロトコルを組み合わせて通信を行うことができるようになりました。

2-3. TCP/IPプロトコル群

現在のインターネットで使用されている階層モデルの一つ。

現在世界で最も普及しているモデルです。以下の4層に分かれています。


・アプリケーション層

アプリケーションプログラムの中で実現されるそれぞれのサービスを実行させる役割を持ちます。

例えば、Webを閲覧する時、クライアントにはブラウザ、サーバにはWebサーバソフトが必要です。

それぞれのサービスを実行するためにクライアントとサーバ側でやり取りをする際に用いられるプロトコルはHTTPになります。

・トランスポート層

代表的なプロトコルにTCP(Transmission Control Protocol)とUDP(User Datagram Protocol)の二つがあります。

・インターネット層

代表的なプロトコルにIP(Internet Protocol)があります。

・ネットワークインタフェース層

物理層に該当するものをハードウェアと捉えるので、ソフトウェアで実現する部分のほとんどはデータリンク層に該当します。

2-4. OSI基本参照モデル

ネットワークでの通信に必要なプロトコルを7つの階層に分けてまとめたモデルのことです。

ユーザ、アプリケーションなどを頂点として、以下の7層に分かれています。


・アプリケーション層(第7層)

通信に使うアプリケーションです。

実際の通信の目的を実現するための機能を持ちます。

例)電子メールを送る、ホームページを表示させる

・プレゼンテーション層(第6層)

データの表現方法を通信に適した形式にします。

例)画像ファイルをテキスト形式に変換する、データを圧縮する

・セション層(第5層)

通信するプログラム間で会話を行います。

コネクション(=コネクション)の開始や終了を管理したり、同期を取ったりします。

・トランスポート層(第4層)

コンピュータ内でどのアプリケーションと通信するのかを管理します。

また、通信同士の品質の差を補完し、通信の信頼性を確保します。

・ネットワーク層(第3層)

ネットワーク上でデータが始点から終点まで届くように管理します。

ルータなどでネットワーク間を結びデータを中継します。

・データリンク層(第2層)

ネットワーク上でデータが直接接続された通信機器まで配送されるように管理し、信号の受け渡しを行います。

この層で作成されるパケット(=大きなデータを小さな単位に分割したもの)をフレームと呼び、このフレームが実際に通信路を流れるデータになります。

・物理層(第1層)

物理的な接続を管理します。

デジタルデータを電気信号に変換したり、光に変換したりします。


なお、OSI基本参照モデルのアプリケーション層・プレゼンテーション層・セション層はTCP/IPプロトコル群のアプリケーション層、ネットワーク層はインターネット層、データリンク層・物理層はネットワークインタフェース層に該当します。

3. 通信方式の種類

ネットワークを介した通信にはいくつかの方式があります。


・コネクション型:

ネットワーク上でデータを配送する前に送信者と受信者の間で専用のコネクションを張ってから通信する方式。

通信の前後にコネクションの確立・解放を行う必要があります。

・コネクションレス型:

コネクション確立などを行わず、いつでもデータを送信する方式

コネクション型は確実にデータを送ることができますが、手間がかかる分遅くなります。

コネクションレス型は通信を早く行えますが、信頼性を確保できないためコネクション型と組み合わせて通信を行うこともあります。

・LAN(Local Area Network):

一つの施設内など、ユーザが自分で管理できる範囲のネットワーク

・WAN(Wide Area Network):

都市間や国際間など、広い範囲に及ぶネットワーク。

電気事業者が管理している。


参考資料:徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書/インプレスブックス